メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、およびノロウイルスの検出を目的とした医療従事者によるポイント・オブ・ケア検査★
Point-of-care testing by healthcare workers for detection of meticillin-resistant Staphylococcus aureus,Clostridioides difficile, and norovirus
S. Dewar* , D. Vass, F.M. MacKenzie, B.J. Parcell
* Royal Infirmary of Edinburgh, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 447-453
背景
地域総合病院の病棟におけるポイント・オブ・ケア検査としての、3種類の Cepheid GeneXpert® 検査、すなわち Xpert SA Nasal Complete、Xpert C. Difficile、および Xpert Norovirus の導入の実行可能性。
目的
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、およびノロウイルスを対象として、医療従事者のみによるポイント・オブ・ケア検査の 1 日 24 時間、週 7 日の提供を確立すること。
方法
Cepheid GeneXpert 検査の性能特性を、従来の中央検査室法との比較を、検体測定時間、処理プロセスの数、結果が得られるまでの時間、および診断精度を比較することで評価した。医療従事者からのフィードバックを収集して、患者フローと臨床ケアを改善する上で、この検査法を適用することでもたらされ得る付加価値を検討した。
結果
16 か月の研究期間中に、計 1,170 件の検査が実施された。Cepheid GeneXpert 検査により、3 種類すべての微生物の同定において、所要時間、処理ステップ、および結果が得られるまでの時間が有意に短縮された。中央検査室による検査との全般的な一致度は、3 種類すべての検査で 98%を超えていた。スタッフから、ポイント・オブ・ケア検査には臨床的有用性に関して有益な影響があったとのフィードバックが得られた。
結論
MRSA 検出のためのXpert SA Nasal Complete、Xpert C. Difficile、および Xpert Norovirus は、病棟環境における医療従事者のみが実施するポイント・オブ・ケア検査として使用可能である。各検査は、1 日 24 時間、週 7 日にわたり使用され、病床管理および患者ケアにおいて有益な影響をもたらす可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本 Xpert システムは、それぞれの測定用キットに採取した検体を直接投入したのち、機器にセットするだけの、極めて平易に実施できる POC 検査である。また機器の大きさもノートパソコン 1 台分の広さがあれば設置できる程度であるため、病棟の片隅で運用可能である。したがって、臨床現場で特定の感染症を迅速かつ高感度・高特異度で測定が可能となり、その結果を感染対策に迅速に反映できるという大きなメリットがある、しかしながらこれまでの検査よりもコスト高となり、費用対効果の十分な検討が導入前には必要である。
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