メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)鼻腔内・咽頭内保菌と抗菌薬全身投与の追加に焦点を置いた除菌:デンマークにおける経験
Danish experience of meticillin-resistant Staphylococcus aureus eradication with emphasis on nose-throat colonization and supplementary systemic antibiotic treatment
I.S. Petersen* , J.M. Christensen, A.B. Zeuthen, P.B. Madsen
* Slagelse Hospital, Denmark
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 461-464
本研究の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)保菌に関して、鼻腔内・咽頭内保菌と抗菌薬全身投与の追加に焦点を置いた Danish Board of Health の治療指針を評価することである。患者 358 例のうち鼻腔内 MRSA(58例)または咽頭内 MRSA(183 例)の保菌患者を対象に、MRSA 除菌治療の結果について分析した。3 回目の投与後の累積除菌率が鼻腔内(71%)、咽頭内(73%)で同等であるという結果にもかかわらず、初回投与後の除菌率は、鼻腔内(66%)のほうが、咽頭内(41%)よりも良好であることが、デンマークの MRSA 治療指針により明らかになった。本研究により、保菌に対する治療への抗菌薬全身投与の追加は、有益な作用を示さないことが確認された。
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監訳者コメント:
デンマークでの MRSA の除菌指針は、①ムピロシン 5 日間(咽頭キャリアは 10 日間)、②クロルヘキシジン石けんを用いた全身洗浄、③清掃・洗濯となっており、病院内伝播リスクの高い患者、受診や入退院の頻繁な患者では、薬剤感受性に基づいて主にクリンダマイシンを 7 ~ 10 日間投与することとなっている。最初の除菌に失敗すると 2 回目の除菌を、そしてそれも失敗すると 3 回目の除菌を行ったが、除菌率が咽頭よりも鼻腔で高いのは、これまで知られていたことと合致しており、新規性はない。ただし抗菌薬の全身投与の追加については、行わなかった群の方がむしろ除菌率は高かった。全身投与を追加した患者を鼻腔内、咽頭内に分けた場合の結果を示してはいないが、全身投与が保菌率を高める可能性さえ危惧される。
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