病院の室内空気と、換気がバイオエアロゾルに与える影響:システマティックレビュー
Indoor hospital air and the impact of ventilation on bioaerosols: a systematic review
R.E. Stockwell*, E.L. Ballard, P. O’Rourke, L.D. Knibbs, L. Morawska, S.C. Bell
*QIMR Berghofer Medical Research Institute, Australia
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 175-184
ますます厳密になる感染制御・予防策の使用にもかかわらず、医療関連感染(HAI)は病院内で根強く持続している。潜在的な病原性を有するバイオエアロゾルの日和見性の空気伝播は、この持続に対して考えられる理由の 1 つかもしれない。したがって本研究では、病院内の異なる区域における室内バイオエアロゾルの濃度および組成、ならびに異なる換気システムの効果を系統的にレビューすることを目的とした。興味を引く論文を特定するため、電子データベース(Medline および Web of Science)で検索を行った。検索対象は 2000 年から 2017 年に英語で発表された論文に限定した。集まったデータは、異なる病院の区域および換気の種類の間の、1 m3 あたりのコロニー形成単位(cfu/m3)の平均値の違いを検討するために使用した。合計 36 報の学術誌の論文が適格基準に合致した。病院の異なる区域における総バイオエアロゾル濃度の平均値は、制限区域(13 cfu/ m3、95%信頼区間[CI]10 ~ 15)および公共区域(14 cfu/ m3、95%CI 10 ~ 19)と比較して、入院患者の施設において最も高かった(77 cfu/ m3、95%CI 55 ~ 108)。自然換気をしている病院の区域では、従来型の機械的換気システムを使用している区域(20 cfu/ m3、95%CI 16 ~ 24)と比較して、総バイオエアロゾル濃度が最も高かった(201 cfu/ m3、95%CI 135 ~ 300)。高機能な機械的換気システム(例えば、1 時間あたりの換気回数の増加、方向流、ろ過システムなど)を使用している病院の区域では、総バイオエアロゾル濃度が最も低かった(9 cfu/ m3、95%CI 7 ~ 13)。病院で高機能な機械的換気システムを運転することは病院の室内空気の質を改善するのに寄与し、HAI の空気伝播のリスクを減らすのに役立つ。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
換気システムの種類と空気中に検出される微生物の種類と量の相関に関するシステマティックレビューである。一方、臨床的な感染症の発生頻度との相関には触れていない。本研究領域においては重要なレビューである。
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