60%および 70%イソプロパノールは「イソプロパノール耐性」エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium )に対して有効である★
Isopropanol at 60% and at 70% are effective against ‘isopropanol-tolerant’ Enterococcus faecium
J. Gebel*, S. Gemein, G. Kampf, S.J. Pidot, N. Buetti, M. Exner
*University Hospital Bonn, Germany
Journal of Hospital Infection (2019) 103, e88-e91
エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium )ATCC 6057、ST 796(イソプロパノール耐性株)、ならびにエンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae )ATCC 10541について、イソプロパノールの殺菌能を調べた(EN13727)。60%および 70%イソプロパノールは、15 秒ですべての菌株に対して有効(≧ 5.38 log10 減少)であったが、23%イソプロパノールは無効であった(≦ 15 分で< 0.99 log10 減少)。続いて4 フィールドテストを用い、E. faecium に対する 70%イソプロパノールの効果を試験した。8 mL は 1 分では十分な効果がみられなかったが(< 5 log10 減少)、16 mL は有効であった(≧ 5.85 log10 減少)。使用量が適切であれば、60%および 70%イソプロパノールは E. faecium に対して有効であると安心してよいであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
昨年、23%イソプロパノールに耐性を示す E. faecium がオーストラリアから報告され、さらにスイスではこの中の ST796 が侵襲性感染症の集団発生を生じていたことが明らかになった。加えてこの E. faecium は 70%イソプロパノールによる表面消毒にも抵抗性を示した。本報告は、これらの報告を追試する意味もあり、十分な濃度と接触時間を確保すれば60%~ 70%のイソプロパノールはいまだ有効であるとの結果が得られた。ただしイソプロパノール・アルコール耐性の機序はまだ不明といえ、今後も詳細な検討とデータの集積が必要である。
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