栄養不良と関節全置換術後の人工関節周囲感染症および手術部位感染症との関連性:システマティックレビューとメタアナリシス

2019.09.29

Association of malnutrition with periprosthetic joint and surgical site infections after total joint arthroplasty: a systematic review and meta-analysis


A.G. Tsantes*, D.V. Papadopoulos, T. Lytras, A.E. Tsantes, A.F. Mavrogenis, A.V. Korompilias, I.D. Gelalis, C.G. Tsantes, S. Bonovas
*Attikon University Hospital, Greece
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 69-77
背景
栄養不良といくつかの有害転帰とを関連付けるエビデンスが増えつつある。
目的
観察研究の包括的メタアナリシスによって、栄養不良と人工膝関節全置換術(TKA)・人工股関節全置換術(THA)後の手術部位感染症(SSI)・人工関節周囲感染症(PJI)との関連性を検討すること。
方法
データベースである PubMed および Scopus で 2018 年 12 月までの期間を対象に系統的検索を実施し、また、主要な整形外科学会の最近の会議録でも実施した。適格な研究のデータを抽出・統合し、統合オッズ比(OR)と 95%信頼区間(CI)を推定した。
結果
250,000 例を超える被験者に関する独立したコホート研究 8 件を報告した、論文 7 報が含まれた。SSI と PJI は栄養不良の患者でより発症しやすい(それぞれ、OR 2.49、95%CI 2.13 ~ 2.90、OR 3.62、95%CI 2.33 ~ 5.64)。SSI と栄養不良との関連性は、TKA 後(OR 2.42、95%CI 1.94 ~ 3.02)と THA 後(OR 2.66、95%CI 1.64 ~ 4.30)の両方で明らかであった。同様に、TKA 後(OR 2.55、95%CI 1.10 ~ 5.91)も THA 後(OR 3.10、95%CI 1.84 ~ 5.25)も PJI は栄養不良と関連していた。最後に、PJI は初回の置換術後(OR 3.58、95%CI 1.82 ~ 7.03)と再置換術後(OR 3.96、95%CI 2.47 ~ 6.33)の両方で栄養不良と相関していた。研究条件別のサブグループ解析によって、病院ベースの研究における PJI と栄養不良との関連性(OR 6.02、95%CI 3.07 ~ 11.81)および集団ベースの研究における PJI と栄養不良との関連性(OR 2.80、95%CI 1.76 ~ 4.44)が確認された。
結論
栄養不良は、関節全置換術後の PJI および SSI と関連している。これらの結果の裏付けや反証のためには、さらなる質の高い研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
栄養不良と関節全置換術後の人工関節周囲感染症および手術部位感染症との関連性をメタアナリシスの手法を用いて調べた論文である。結果として、関連性があることが確認された。さらに、栄養不良は術後の入院期間の延長や再入院率の上昇、創傷治癒の遅れなど様々な合併症にもつながってくる。栄養管理の重要性が再認識された。

同カテゴリの記事

2017.12.25

Following trends in steam sterilizer performance by quantitative monitoring of non-condensable gases

2023.07.22
An increasing threat in intensive care units: evaluation of multi-drug-resistant Myroides spp. infections and risk factors

A. Gülmez*, A.N. Ceylan, O. Özalp
*Istanbul Başakşehir Çam and Sakura City Hospital, Turkey

Journal of Hospital Infection (2023) 137, 8-16


2007.07.31

Comparison of the National Surgical Site Infection surveillance data between The Netherlands and Germany: PREZIES versus KISS

2022.05.16
The efficacy of taurolidine containing lock solutions for the prevention of central-venous-catheter-related bloodstream infections: a systematic review and meta-analysis

C.H. van den Bosch*, B. Jeremiasse, J.T. van der Bruggen, F.N.J. Frakking, Y.G.T. Loeffen, C.P. van de Ven, A.F.W. van der Steeg, M.F. Fiocco, M.D. van de Wetering, M.H.W.A. Wijnen
*Princess Máxima Center for Pediatric Oncology, the Netherlands

Journal of Hospital Infection (2022) 123, 143-155


JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ