新生児集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌保菌のアウトブレイク:その調査と制御のための症例対照研究の利用および得られた教訓★
An outbreak of meticillin-resistant Staphylococcus aureus colonization in a neonatal intensive care unit: use of a case-control study to investigate and control it and lessons learnt
N.M. Brown*, M. Reacher, W. Rice, I. Roddick, L. Reeve, N.Q. Verlander, S. Broster, A.L. Ogilvy-Stuart, A. D’Amore, J. Ahluwalia, S. Robinson, R. Thaxter, C. Moody, A. Kearns, J. Greatorex, H. Martin, M.E. Török, D.A. Enoch
*Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 35-43
目的
新生児集中治療室(NICU)におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)アウトブレイクの調査と管理、および得られた教訓について記述すること。
方法
本稿は、3 次紹介病院の 40 床の NICU におけるアウトブレイクの報告および実施した症例対照研究で、ゲンタマイシン耐性 MRSA の保菌/感染乳児すべてを含めた。
介入
乳児の隔離、バリア予防策、清掃の強化、職員の手指衛生を含む実践の評価、および乳児の MRSA スクリーニングの増加など標準的な感染制御策を実施した。連続する MRSA 感染によって、NICU 全職員がスクリーニングを受けることになった。保菌乳児と職員の接触を評価するため、およびアウトブレイクの管理について情報を提供するために、症例対照研究を実施した。
結果
乳児 8 例が MRSA(spa 型 t2068)を保菌しており、そのうち 1 例は、その後、MRSA 菌血症を発症した。MRSA 保菌は、在胎週数がより短いこと、出生時体重がより少ないこと、双生児であることと有意に関連した。看護師 3 名が MRSA を保菌していたが、MRSA spa 型 t2068 保菌の看護師は 1 名(No. 45)のみであった。多変量ロジスティック回帰分析では、MRSA 保菌の独立危険因子として、看護師(No. 45)によるケアが特定された。
結論
どの看護師がどの乳児を(いつ)ケアしたのかに関する正確な記録の欠如のため、特定の看護師によるケアがもたらしたリスクの特定が困難になった。これがより明らかになっていれば、保菌看護師の早期発見が可能となり、その後の症例を回避しえた。本研究では、症例対照研究を用いることの有益性が強調され、大部分の看護師が保菌乳児との関連がないことが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
古典的な記述疫学と分子疫学の癒合によるエビデンスの創出がこの事例では行われている。何より重要なのは、媒介物やその経路が分からないと対策がとりにくいことである。
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