国立整形外科病院における化膿レンサ球菌アウトブレイクの制御を目的としたリアルタイム全ゲノムシークエンシング★★

2019.09.29

Real-time whole genome sequencing to control a Streptococcus pyogenes outbreak at a national orthopaedic hospital


H. Sharma*, M.R. Ong, D. Ready, J. Coelho, N. Groves, V. Chalker, S. Warren
*The Royal National Orthopaedic Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 21-26
背景
侵襲性疾患に関連する化膿レンサ球菌の全ゲノムシークエンシング(WGS)は、アウトブレイクの特定および調査のために使用されている。アウトブレイク制御を目的としたリアルタイムでの WGS の臨床応用はほとんどなされていない。
目的
国立整形外科病院において 1 例の菌血症死亡例が発生し、保菌者の特定および伝播阻止のためにリアルタイム WGS によるアウトブレイクの調査が促された。
方法
この前年の化膿レンサ球菌感染症の患者を特定するために、後向きサーベイランスを実施した。接触者追跡調査に際し、患者 4 例と職員 179 名を対象に化膿レンサ球菌保菌についてスクリーニングを実施した。同定された全分離株が emm 型であった。分離株サブセットのリアルタイム WGS を実施した。
結果
index case(発端症例)、患者 2 例、職員 8 名から化膿レンサ球菌分離株 12 株が同定された。6 株は emm 1.0 で、index case と職員 5 名の分離株であった。残りの分離株は異なる emm 型に属した。emm 1.0 の 6 株で WGS 解析を実施した。一塩基多型(SNP)解析により、5 株は識別不能で、SNP 間の距離が 0、1 株では SNP の違いが 1 カ所あり、近年の院内伝播の仮説を支持するものである。スクリーニング陽性の医療従事者は全員、ペニシリンまたはクリンダマイシンによる治療を受けた。さらなる症例は特定されなかった。
結論
WGS の分子識別能の向上により、化膿レンサ球菌症症例のクラスターが確認され、アウトブレイクが制御された。これは、侵襲性の化膿レンサ球菌アウトブレイクの管理におけるリアルタイム WGS の臨床的有用性を立証するもので、われわれは、ルーチンの診療業務として、その実施を推奨する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
医療関連感染症の伝播経路の解析に次世代シークエンサーによる全ゲノム解析が安価で迅速に実施できるようになった。こうした解析手法は今後益々浸透していくことだろう。

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