バイオフィルムに対する酸化消毒剤の有効性への消毒剤処方および有機汚染物の作用

2019.09.29

Effect of disinfectant formulation and organic soil on the efficacy of oxidizing disinfectants against biofilms


D. Chowdhury*, A. Rahman, H. Hu, S.O. Jensen, A.K. Deva, K. Vickery
*Macquarie University, Australia
Journal of Hospital Infection (2019) 103, e33-e41
背景
医療環境における乾燥表面上に発生するバイオフィルムは、消毒剤に対する耐性を増してきた。本研究は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)乾燥表面バイオフィルム単独に対する処方された酸化消毒剤の活性を、黄色ブドウ球菌に活性を持つ成分を含む製品と比較した。
方法
乾燥表面バイオフィルムは、米国疾病対策センター(CDC)のバイオリアクターにおいて、水分補給および脱水の交互のサイクルで生育させた。消毒剤の有効性は、30 秒の中性洗剤の処理の前後に標準汚染物の存在下または非存在下で検討した。バイオフィルムは過酢酸(Surfex、Proxitane)、過酸化水素(Oxivir、6%過酸化水素溶液)および塩素(Chlorclean、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム錠剤)で 5 分間処理された。残留バイオフィルムの生存率および質量は、それぞれ平板培養およびタンパク質分析によって決定された。
結果
バイオフィルムの生存率は、塩素系製品では 2.8 log10 低下し、Proxitane では 2 log10 低下したが、これらの製品は汚染物の存在下ではいずれのバイオフィルムも殺菌できなかった。対照的に、Surfex は汚染物の存在下で完全にバイオフィルムを不活性化させた(力価で 6.3 log10 低下)。過酸化水素製品は乾燥表面バイオフィルムに対してほとんど効果がなかった。汚染物の存在下および非存在下の除去されたバイオフィルムの質量は、塩素で 30%未満であり、Surfex で およそ 65%であった。消毒前の洗剤による処理は効果がなかった。
結論
完全に処方された消毒剤の添加物は活性成分と相乗的に働くことができ、したがって汚染物の悪影響を軽減しながら、バイオフィルムの殺菌を促進することができる。購買担当者は有効性試験の結果を求めること、また、有効性試験が生物学的汚染物および/またはバイオフィルムの存在下で実施されたかどうか考慮することが推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
乾燥表面のバイオフィルムに対する各種市販消毒薬の有効性を比較した研究である。実験系によって消毒薬の有効性が異なることを示唆している。消毒薬選択における様々な根拠の一つになるだろう。

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