年齢は単独では人工関節周囲感染症のリスク因子ではない

2019.09.29

Age alone is not a risk factor for periprosthetic joint infection


D. Inoue*, C. Xu, H. Yazdi, J. Parvizi
*Rothman Orthopaedic Institute at Thomas Jefferson University, USA
Journal of Hospital Infection (2019) 103, 64-68
背景
高齢患者における人工関節周囲感染症(PJI)の高い発生率の原因が、年齢単独によるものかまたは高齢患者における併存疾患の増加によるものなのかは分かっていない。
目的
年齢は単独では関節全置換術後の PJI のリスク因子でないという仮説を検討すること。
方法
この後向き研究では、単一施設において 2010 年 1 月 1 日から 2016 年 12 月 31 日の間に初回の人工股関節・膝関節全置換術を受けた患者 23,966 例をレビューした。国際コンセンサス会議の診断基準によって定義される PJI を発症した患者を特定した。すべての登録患者を、65 歳未満の患者群(N = 12,761)、65 歳から 74 歳の患者群(N = 6,850)、75歳以上の患者群(N = 4,355)の 3 群に分類した。多変量解析および傾向スコアマッチング分析を用いて、年齢と PJI の潜在的関連性を検討した。
結果
コホート全体での PJI の発生率は 0.72%(23,966 例中 171 例)であった。年齢以外のすべての変数を調整した多変量解析により、65 歳から 74 歳の患者の PJI の発生率(オッズ比[OR]0.89、95%信頼区間[CI]0.55 ~ 1.42、P = 0.62)または 75 歳以上の患者の PJI の発生率(OR 0.69、95%CI 0.36 ~ 1.32、P = 0.26)は、65 歳未満の患者と比較して、統計学的有意差は認められないことが明らかになった。
結論
交絡変数を調整した場合、年齢は単独では PJI のリスク因子でない。PJI の発生率に対する年齢の影響を評価する研究では、PJI に関与する他の交絡変数を考慮に入れるべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
年齢そのものは、単独では人工関節周囲感染症のリスク因子ではない、という論文である。プロペンシティスコアマッチングでも、群間で有意差のある因子はなかった。気になるところである。

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