手指衛生モニタリング技術に対する医療従事者の態度
Healthcare workers’ attitudes towards hand-hygiene monitoring technology
C. Tarantini*, P. Brouqui, R. Wilson, K. Griffiths, P. Patouraux, P. Peretti-Watel
* IHU-Méditerranée Infection, France
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 413-418
背景
RFID を用いた自動手指衛生モニタリング技術を感染症病棟に導入して、医療従事者の実践の検討、および手指衛生の向上を試みた。
目的
この革新的モニタリングデバイスに対する医療従事者の態度を評価して、実践の変更に対する抵抗を予想し、将来における実施を促進すること。
方法
詳細な面接およびエスノグラフィーの手法。
結果
医療従事者の観点からは、患者への感染症の伝播を予防する上での RFID 技術の有用性は認識している一方で、RFID の電磁波に関するリスク、ならびに上司による管理についての懸念が表明された。全体的に、医療従事者の意見は、技術と調査を用いて自分たちの実践を変更することに対する熱意を特徴とする肯定的な考えと、こうした技術と調査に対する強い批判を特徴とする否定的な考えとの間で揺れていた。このような批判には、手指衛生モニタリング技術が医療従事者の実践の背景にある意味を分かりにくくさせるという非難などが含まれていた。医療従事者は、彼らが組み込まれている地域および国という背景においてこの技術を認識していた。医療従事者の観点からは、第一に技術というものはプロジェクトチームにとって最も大きな利益をもたらすものである。したがって医療従事者は、自分たちとプロジェクトチームとの間に利益および目的の違いがあると認め、主張している。このことは、これら 2 群間における専門家としての規範と価値感の葛藤を象徴的に示している。医療従事者が示した抵抗感は、実践の上に現れるとともに、言葉としても表現された。
結論
革新的技術の開発は、RFID をめぐる医療従事者の態度に対処するように行うべきである。医療従事者に対して、これらの技術の性質についての知識を提供することが極めて重要であるが、こうしたモニタリングシステムに関する一部の批判はより構造上の理由に基づいたものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
RFID による手指衛生モニタリングなど、これまでの人が観察する方法とは異なる技術を用いたモニタリングが導入されつつある。実施者による評価は知ることができるが、モニタリングされる側の考え、行動については知る機会が限られていることから、興味深い研究であると言える。
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