欧州連合/欧州経済地域の医原性伝播リスクの高い医療従事者および患者集団における B 型肝炎および C 型肝炎
Hepatitis B and C among healthcare workers and patient groups at increased risk of iatrogenic transmission in the European Union/European Economic Area
L. Tavoschi*, L. Mason, U. Petriti, E. Bunge, I. Veldhuijzen, E. Duffell
*European Centre for Disease Prevention and Control, Sweden
Journal of Hospital Infection (2019)102, 359-368
欧州連合/欧州経済地域(EU/EEA)では、およそ 900 万人の人々が B 型肝炎ウイルス(HBV)または C 型肝炎ウイルス(HCV)に慢性的に感染しており、その多くが診断されていない。的を絞った積極的症例探索イニシアチブが必要とされる。欧州では HBV/HCV の医原性伝播が関連しているが、感染リスクのある人々は、しばしば見過ごされる。本研究の目的は、医原性伝播による HBV/HCV 感染症の高リスク集団(医療従事者も含む)を特定することと、罹患率および有病率を推定することである。2017 年 2 月に、PubMed および Embase により、HBV/HCV、発生、集団のサブグループの用語を組み合わせた文字列で系統的検索を実施した。検索されたすべての文献を選別し、対象とした論文の質的評価を行った。既定の一連の変数を抽出し、興味深い集団、ウイルス、アウトカムについて詳細な要約表を作成した。38 件の論文を対象とし、4 件は HBV、23 件はHCV、11 件は両方に関して報告されており、血液透析患者、糖尿病患者、ヒト由来物質レシピエント、医学的/歯科的手技を受けた患者、および医療従事者における有病率または罹患率の推定を報告した 70 件の調査が示されている。HBV の推定は 0.4%から 11.7%、HCV の推定は 0.7%から 90%超と大きな差があり、大部分が一般集団よりも高かった。検索した研究数が限られ、研究の多くは比較的古く、複数のリスク因子を有する集団に焦点が置かれているにもかかわらず、今回の結果は、EU/EEA における積極的症例探索の対象集団として、HBV/HCV の医原性伝播リスクのより高い集団を考慮することの重要性を強調するものである。地域の疫学的データおよび地域の背景に沿った個々のリスク評価により、検査の提案を行うべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
HBV/HCV の感染者の疫学情報は、患者母集団により大きく変化する場合がある。たとえば肝臓病や糖尿病による腎不全、麻薬中毒患者などの患者背景があると当然リスクは増大する。疫学調査の際の情報収集の仕方が課題である。
同カテゴリの記事
Costs associated with hospital-acquired bacteraemia in an Indian hospital: a case-control study
Advances in electronic surveillance for healthcare-associated infections in the 21st Century: a systematic review
Mupirocin resistance is not an inevitable consequence of mupirocin use
Relationship between healthcare worker surface contacts, care type and hand hygiene: an observational study in a single-bed hospital ward
High-throughput whole-genome sequencing to dissect the epidemiology of Acinetobacter baumannii isolates from a hospital outbreak