2%クロルヘキシジングルコン酸塩/70%イソプロピルアルコールにより術前皮膚処置された術野における頻回の生理食塩水曝露および拭き取り後の皮膚残留クロルヘキシジングルコン酸塩の ex vivo および in vivo 評価
Ex vivo and in vivo evaluation of residual chlorhexidine gluconate on skin following repetitive exposure to saline and wiping with 2% chlorhexidine gluconate/70% isopropyl alcohol pre-operative skin preparations
M.H. Bashir*, A. Hollingsworth, D. Schwab, K.S. Prinsen, J.E. Paulson, D.J. Morse, S.F. Bernatchez
*Microbac Laboratories, Inc., USA
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 256-261
背景
手術部位感染症のリスクを最小限に抑えるために、術前に皮膚消毒が実施される。この適用としてクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)がルーチンに使用されるが、消毒済みの部位が液体に曝露されたり、頻回に拭き取られたりした場合、術中にこの消毒薬が除去される可能性がある。
目的
本研究では、外科的洗浄および拭き取りのシミュレーションを行い、CHG 含有皮膚製剤への膜形成アクリレート共重合体の添加が、CHG 消失の最小化に及ぼす影響を評価した。その結果を、市販の水溶性 CHG 製剤による場合と比較した。
方法
ブタの切除表皮を用いた 2 つの試験およびヒトボランティアを対象とした 1 つの試験を実施した。各試験において、手術条件をシミュレートするために、CHG 製剤を適用し、消毒した部位に生理食塩水を浸したガーゼを置き、軽くたたいて拭き取る操作を繰り返した。処置部位と未処置部位において、高速液体クロマトグラフィーによる CHG 量、または指標菌の播種による回収菌の対数値(CHG の残留活性を反映)のいずれかについて分析した。
結果
洗浄および拭き取り後、ブタの切除皮膚とヒトモデルの両方とも、膜形成共重合体添加 CHG 製剤により処置した皮膚の方が CHG 残留量が多かった。ブタモデルでは、膜形成共重合体添加 CHG 製剤による処置によって、播種した細菌の回収率はより低値を示した。ヒト試験において、皮膚刺激性も有害事象も報告されなかった。
結論
膜形成共重合体の添加は、水溶性製剤と比較して、術中を通して皮膚上の CHG 残留量を改善する可能性がある。この残留量の改善は、より良好な抗菌活性をもたらしうる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
CHG 製剤の持続効果を狙い、膜形成共重合体と混合して塗布する試みである。動物実験の域を脱し、具体的な臨床治験による評価の結果を期待したい。
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