集中治療室における死亡率に細菌の抗菌薬耐性が及ぼす影響:2000 年から 2013 年にわたるレジストリ研究(IICU 研究)★

2019.07.02

Influence of bacterial resistance on mortality in intensive care units: a registry study from 2000 to 2013 (IICU Study)


V. Bonnet*, H. Dupont, S. Glorion, M. Aupée, E. Kipnis, J.L. Gérard, J.L. Hanouz, M.O. Fischer
*University Hospital of Caen, France
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 317-324
背景
細菌の抗菌薬耐性は、集中治療室における日常的な懸念である。しかし、in vitro で確認された抗菌薬耐性が及ぼす臨床的影響に関して利用できるデータはほとんどない。
目的
院内感染症の患者における死亡率を、細菌の抗菌薬耐性プロファイルに従って比較すること。
方法
2000 年から 2013 年にフランスの 29 の集中治療室が参加した前向きサーベイランスレジストリについて、後向きの分析を行った。集中治療室において院内感染症を呈したすべての患者を組み入れた。
結果
このレジストリには適格患者 88,000 例が登録されており、これには院内感染症の患者 10,001 例が含まれた。これらの患者のうち、3,092 例(36.7%)は抗菌薬耐性微生物が関係していた。グラム陰性桿菌は、グラム陽性球菌と比べて、抗菌薬耐性の発現率が最も高かった(52.8% 対 48.1%、P < 0.001)。抗菌薬耐性を有する感染性微生物による患者では、院内死亡率がより高く(51.9% 対 45.5%、P < 0.001)、救急救命部門の入室期間がより長かった(33 ± 26 対 29 ± 22 日、P < 0.001)。これらの結果は、SAPS II スコアによる調整後でも有意性を保ち(P < 0.001)、グラム陰性桿菌およびグラム陽性球菌のサブグループ解析でも有意であった。入院前の患者の所在場所(自宅、長期ケア施設、病院、ICU)にかかわらず、死亡率に差は認められなかった。
結論
細菌の抗菌薬耐性が認められた患者では、細菌種または患者の所在場所にかかわらず、集中治療室における死亡率が高く、入室期間が長かった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
感染症は集中治療を受けている重症患者の死亡率を上げ、医療関連感染は合併症の発生や入院期間の延長をきたし、公衆衛生上の重大な問題となる。集中治療領域では感染予防対策が重視され積極的に実施されてきているものの、未だに感染症は増加し、ICU での死亡率は減少していない。本論文は北西フランスにおける大規模な前向きサーベイランス後の後向き解析である。本研究で耐性菌感染症患者の死亡率が有意に高いことが判明しているが、それが耐性菌の病原性によるものか、あるいは適切な抗菌薬の投与までの時間的遅延が原因なのかは、これまでと同様明らかにすることはできていない。

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