手術部位感染症サーベイランスネットワークへの参加の影響:大規模国際コホート研究の結果
Impact of participation in a surgical site infection surveillance network: results from a large international cohort study
M. Abbas*, M.E.A. de Kraker, E. Aghayev, P. Astagneau, M. Aupee, M. Behnke, A. Bull, H.J. Choi, S.C. de Greeff, S. Elgohari, P. Gastmeier, W. Harrison, M.B.G. Koek, T. Lamagni, E. Limon, H.L.Løwer, O. Lyytikäinen, K. Marimuthu, J. Marquess, R. McCann, I. Prantner, E. Presterl, M. Pujol, J. Reilly, C. Roberts, L. Segagni Lusignani, D. Si, E. Szilágyi, J. Tanguy, S. Tempone, N. Troillet, L.J. Worth, D. Pittet, S. Harbarth
*The University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 267-276
背景
手術部位感染症(SSI)のサーベイランスの影響は、大規模での定量化はなされていないが、SSI サーベイランスは効果的な感染制御策における中心的要素である。
目的
サーベイランスネットワークにおいて、SSI 発生率の時間的傾向を明らかにすること。
方法
SSI サーベイランスネットワークは、参加期間を曝露とみなして、病院のサーベイランス参加年数により層別化した SSI 発生数および手術件数に関する手術別のデータを提供した。年間の率比と 95%信頼区間(CI)を得るために、統合および手術別の変量効果ポアソン回帰を適用し、サーベイランスネットワークを変量切片として含めた。
結果
要請された 36 のネットワークのうち、アジア、オーストラリア、ヨーロッパの高所得国 15 か国から 17 のネットワークが研究に参加した。17 種類の手術手技(心血管、消化器、婦人科・産科、脳神経外科、および整形外科領域)の集計データを収集し、手術件数 5,831,737 件、SSI 発生数 113,166 件に関するデータを得た。サーベイランス期間を通して、全体的な SSI 発生率の有意な低下がみられ、サーベイランス開始年と比較して 9 年後(最終)には 35%低下した(率比 0.65、95%CI 0.63 ~ 0.67)。手術別の傾向に大きな差があったが、結腸直腸手術、ヘルニア縫合、帝王切開、人工股関節置換術、人工膝関節置換術において、一貫して大幅な低下がみられた。
結論
今回の大規模国際コホート研究では、SSI サーベイランスネットワーク参加後の統合 SSI 発生率は、安定的かつ持続的な低下と関連しており、因果関係は証明されていないが、その可能性はある。手術別の傾向にばらつきがみられた。これらの結果は、感染症発生率の低減を図るうえでサーベイランスの中心的な役割を支持するとともに、高所得国における病院を拠点とした SSI サーベイランスの広範な実施を求めるものである。
サマリー原文(英語)はこちら
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