スペインにおける 2001 年から 2015 年のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連の入院および院内死亡の危険因子
Clostridium difficile-related hospitalizations and risk factors for in-hospital mortality in Spain between 2001 and 2015
M.D. Esteban-Vasallo*, J. de Miguel-Díez, A. López-de-Andrés, V. Hernández-Barrera, R. Jiménez-García
*Madrid Regional Health Authority, Spain
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 148-156
目的
2001 年から 2015 年のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)による入院の発生率・特徴・院内アウトカムの傾向を調査すること、CDI の診断順位(1 次診断または 2 次診断)に基づき患者間で臨床変数を比較すること、および院内死亡率と関連する因子を特定することである。
方法
2001 年から 2015 年の Spanish National Hospital Discharge Database を用いて、後向き研究を実施した。研究集団は、退院報告において CDI の 1 次診断または 2 次診断を受けた患者とした。年間の入院率を算出し、Poisson 回帰モデルおよび Jointpoint 分析により傾向を評価した。院内死亡率と関連する変数を特定するために、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。
結果
全体で、49,347 件の退院が確認された(女性 52.31%、CDI の 1 次診断 33.69%)。入院率は、2001 年から 2003 年には住民 100,000 人あたり 3.9 例であったのが、2013 年から2015 年には住民 100,000 人あたり 12.97 例に増加した。CDI の重症度の高い患者は 6.36%から 11.19%に増加、患者 1 例あたりの平均費用は 3750.11 ユーロから 4340.91 ユーロに増加した一方で、院内死亡率は 12.66%から 10.66%に低下した。年齢、Charlson 併存疾患指数、重症度、入院期間、平均費用は、CDI の 1 次診断を受けた患者のほうが有意に高値を示した。CDI の診断順位にかかわりなく、院内死亡率は、男性、高齢、併存疾患、再入院、CDI の重症度と関連した。CDI の 1 次診断は、院内死亡率が低いことと関連した(オッズ比 0.60、95%信頼区間 0.56 ~ 0.65)。
結論
CDI 関連の入院率は増加傾向にあり、高額の費用負担につながっているが、院内死亡率は近年、低下している。CDI の予防と管理を図る対策において、院内死亡率と関連する因子について考慮すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
スペインの National Hospital Discharge Database を用いた CDI のリスク分析の論文である。著者らもリミテーションとしてあげているが、15 年の間に病名コードの変更だけでなく、診断法、検査法の変化もあり、結果をそのまま受け取るのは難しいと思われた。
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