2 本の軟性尿管鏡の間における多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)伝播と尿路感染症アウトブレイク:内視鏡の汚染除去における脆弱性★★
Transmission of multi-drug resistant Pseudomonas aeruginosa between two flexible ureteroscopes and an outbreak of urinary tract infection: the fragility of endoscope decontamination
J. Kumarage*, K. Khonyongwa, A. Khan, N. Desai, P. Hoffman, S.K. Taori
*Kings College Hospital NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 89-94
目的
軟性内視鏡は汚染除去が難しく、内視鏡関連感染症が増加している。本報告は、英国の 3次病院において軟性尿管鏡に関連して発生した臨床的感染症の増加後に同定された多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のアウトブレイクについて記述する。
方法
臨床部門、検査部門および中央汚染除去部門の記録を精査して、この問題の規模を明らかにし、使用された内視鏡との関連を調べた。尿管鏡の操作手順、内視鏡部門および中央汚染除去部門の監査を実施した。内視鏡からサンプルを採取して培養するとともに、内視鏡の構造的統合性を調べた。回収されたすべての分離株についてタイピングを実施した。
結果
患者 13 例が、2 本の軟性尿管鏡と関連する臨床的感染症を発症した。第 1 の尿管鏡では感染が知られた患者により、また第 2 の尿管鏡では第 1 の尿管鏡により感染した別の 1 例の患者での使用により定着が発生したと考えられた。特定されたリスク因子は、表面の傷、両方の尿管鏡の外側カバーが引っ張っられたりしわを寄せられたこと、使用直後のベッドサイドでの尿管鏡洗浄の不実施、尿管鏡使用から汚染除去まで一晩遅延したこと、洗浄消毒後の乾燥不十分、ならびに接続バルブの使用状況の追跡不能などであった。
結論
軟性内視鏡の汚染除去が十分かどうかは、多数のステップに左右される。世界的に多剤耐性微生物の発生が増加するなか、内視鏡操作者および汚染除去部門による軟性内視鏡操作手順の厳格なモニタリングが極めて重要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
軟性内視鏡の内腔の不十分な洗浄以外にも、内視鏡の洗浄消毒の確実性を阻害するいくつかの因子が本論文で指摘されている。軟性尿管鏡に限らず、すべての軟性内視鏡において消毒効果を不確実にする因子として、表面の傷、外側カバーのしわ、使用直後の外部・内腔の洗浄不足、洗浄消毒後の乾燥不十分、使用後から汚染除去までの遅延があり、今一度内視鏡の洗浄消毒のプロセスを丁寧に見直すとともに、厳重なプロセスのモニタリングが必要である。
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