複雑性尿路感染症で入院した患者のカルバペネム非感受性グラム陰性菌感染症に起因する臨床的・経済的負荷

2019.05.10

Attributable clinical and economic burden of carbapenem-non-susceptible Gram-negative infections in patients hospitalized with complicated urinary tract infections


Y.P. Tabak*, A.H. Sung, G. Ye, L. Vankeepuram, V. Gupta, E. McCann
*Becton, Dickinson and Company, USA
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 37-44
背景
グラム陰性菌による複雑性尿路感染症(UTI)は、患者および病院に深刻な結果をもたらしうる。
目的
米国の 78 の病院において、カルバペネム非感受性グラム陰性菌(耐性/中等度)感染症に起因する臨床的・経済的負荷を、カルバペネム感受性グラム陰性菌感染症と比較して評価すること。
方法
重複のない尿由来のカルバペネム非感受性分離株およびカルバペネム感受性分離株すべてを分析した。サブセットは、複雑性 UTI を示す ICD-9-CM 主診断コードを有した。採取時間(入院後 3 日未満対 3 日以上)によって、分離株を市中発症型または病院発症型に分類した。カルバペネム非感受性グラム陰性菌感染群とカルバペネム感受性グラム陰性菌感染群の傾向スコアマッチングにより、死亡率、30 日再入院、入院期間(LOS)、病院費、および純損益(米ドル)について確認し、カルバペネム非感受性グラム陰性菌に起因する負荷を推定した。十分な患者数から成る 3 つのサブグループ(主診断が複雑性UTI・市中発症型、主診断が他の疾患・市中発症型、主診断が他の疾患・病院発症型)で分析を実施した。
結果
カルバペネム非感受性グラム陰性菌に起因する死亡リスク(58%)は、他の主診断・病院発症型サブグループのみで有意に高かった(オッズ比 1.58、95%信頼区間 1.14 ~ 2.20、P < 0.01)。カルバペネム非感受性グラム陰性菌に起因する 30 日再入院のリスクは、29%~ 55%の範囲であり(すべてP < 0.05)、経済的影響の平均は、LOS 延長 1.1 ~ 3.9 日(すべて P < 0.05)、総費用増加 1,512 ~ 10,403 米ドル(すべて P < 0.001)、純損失 1,582 ~ 11,848 米ドル(すべて P < 0.01)であった。全体的な負荷およびカルバペネム非感受性グラム陰性菌に起因する負荷は、他の主診断・病院発症型のサブグループでもっとも大きかった。
結論
カルバペネム非感受性グラム陰性菌感染症の患者は、カルバペネム感受性グラム陰性菌感染症の患者と傾向スコアをマッチさせた比較において、複雑性 UTI が主診断であるか否かにかかわらず、臨床的・経済的負荷がより大きく、この負荷は病院発症型の感染症においてもっとも大きかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
米国 78 病院から集められた 4 万件を超える尿由来のグラム陰性菌分離株とその背景について解析した論文である。サブグループ解析から得られた結果から病院発症型の尿路感染症の持つ負荷について明らかにした。

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