2014 年から 2016 年のスロベニア初となる OXA-48 および/または NDM カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)アウトブレイクの制御の成功

2019.02.22

Successful control of the first OXA-48 and/or NDM carbapenemase-producing Klebsiella pneumoniae outbreak in Slovenia 2014-2016


M. Pirš* , T. Cerar Kišek, V. Križan Hergouth, K. Seme, M. Mueller Premru, S. Jeverica, M. Logar, T. Mrvič, B. Žnidaršič b, O. Jordan Markočič, T. Lejko Zupanc
* University Medical Centre Ljubljana, Slovenia
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 142-149
背景
スロベニアにおいてカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)は散発的な発生にとどまっている。
目的
2014 年 10月から 2015 年 4月にかけて 3 次教育病院 University Medical Centre Ljubljanaで発生した、カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)と大腸菌(Escherichia coli)によるスロベニア初のアウトブレイクについて記述すること。
方法
CPE 陽性例は、CPE 感染または保菌のあらゆる患者と定義した。接触患者に関する厳格な定義づけも行った。交差感染を予防する方法は、厳格な接触予防策および専門医療従事者の配置とともに全 CPE 保菌者コホーティング、培養スクリーニングの結果が出るまでの全接触患者コホーティング、接触患者の系統的な直腸スクリーニング、全 CPE 陽性者とその接触者における識別タグ使用などであった。CPE に関する教育キャンペーンを実施した。臨床検体は標準的な方法により処理した。パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)により関連性を検討した。異なるパルソタイプに属するカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌分離株において Multi-locus sequence typing 法を実施した。
結果
制御下でのアウトブレイク発生より前に、40 例の患者で OXA-48 および/またはニューデリー・メタロ‐β‐ラクタマーゼ(NDM)産生 CPE の保菌または感染を認めた。38 例で OXA-48 および/または NDM 産生肺炎桿菌が検出された。7 例で OXA-48 および/または NDM 産生大腸菌が肺炎桿菌とともに検出され、2 例ではカルバペネマーゼ産生大腸菌のみが分離された。アウトブレイクは、疫学的に関連する患者の ST437 と ST147 に属する、2 つの主要なカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌クラスターを有するオリゴクロナールであった。
結論
最初の標準的な制御策はアウトブレイクを予防できなかった。問題が認識された時点での、厳格な感染制御策および医療従事者の教育が、アウトブレイク制御の成功に寄与した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
アウトブレイク対策にはその実態を解析し、関係者が認識することにより対策の重要性の動機づけが明確化できる。こうしたアウトブレイク時の解析手法も日々進歩しており、近い将来はかなり短時間で分子疫学的情報が得られる装置が出てくるであろう。

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Journal of Hospital Infection (2020) 106, 570-576

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