グラム陰性菌による血流感染症の半減計画:医療関連大腸菌(Escherichia coli)血流感染症の感染巣に対処する
Planning to halve Gram-negative bloodstream infection: getting to grips with healthcare-associated Escherichia coli bloodstream infection sources
J.A. Otter* , T.J. Galletly, F. Davies, J. Hitchcock, M.J. Gilchrist, E. Dyakova, S. Mookerjee, A.H. Holmes, E.T. Brannigan
* Imperial College London, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 101,129-133
背景
大腸菌(Escherichia coli)による血流感染症(BSI)の局所的な感染巣、リスク、抗菌薬耐性に関して徹底的に理解することが、予防戦略や治療法の的を絞るために必要である。
目的
医療関連大腸菌 BSI の感染巣および抗菌薬耐性についてレビューすること。
方法
我々の 2 次および 3 次ケア病院グループ内で、2014 年 4 月から 2017 年 3 月に発生したすべての医療関連(48 時間後)大腸菌 BSI 250 件において、感染巣および抗菌薬耐性プロファイルについてレビューした。尿路感染巣、消化管感染巣、発熱性好中球減少症に起因する BSI との疫学的関連を、単変量・多変量二項ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。
結果
大腸菌 BSI は、2014/2015 会計年度には入院 10,000 件あたり 4.0 件であったのが、2016/2017 会計年度には 4.4 件と 9%増加した。89 例(36%)で尿路感染巣が認められ、このうち 30 例(34%)は尿道カテーテル関連尿路感染症(UTI)と分類された。45 例(18%)は発熱性好中球減少症と関連しており、38 例(15%)で消化管感染巣が認められた。症例と、外科的処置(11 例、4%)または血管内留置デバイス(7 例、3%)との関連は、ほとんどなかった。女性(オッズ比[OR]2.3、95%信頼区間[CI]1.2 ~ 4.6)、高齢(OR 1.02、95%CI 1.00 ~ 1.05)は、尿路感染巣と有意に関連した。消化管感染巣または発熱性好中球減少症と関連する BSI については、有意な関連は確認されなかった。分離株の 47%はシプロフロキサシンに、37%は第 3 世代セファロスポリンに、22%はゲンタマイシンに耐性を示した。
結論
消化管と発熱性好中球減少症を合わせると、地域的には大腸菌 BSI の 3 分の 1 を占めたが、全国的にはほとんど関連がみられなかった。大腸菌 BSI の増加傾向を抑えるために、地域的に、これらの感染巣に的を絞って取り組む必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
こうした耐性大腸菌の論文の増加傾向は、もはや耐性大腸菌の蔓延が社会問題化していると言わざるを得ない。
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