菌血症の検出増加は敗血症プログラムの成功によるものである

2019.01.05

Sepsis programme successes are responsible for the increased detection of bacteraemia


M.D. Simmons*, S. Daniel, M. Temple
*Public Health Wales Microbiology, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 93-99
背景
大腸菌(Escherichia coli)菌血症の減少という目標は困難であるが、これは西ウェールズでウェールズ政府の目標の導入より前に、2013 年に地域の衛生局が定めた感染症の重要なサロゲート(代用)マーカーであった。初期にみられた事例の横ばい状態は継続せず、今回の再調査が促された。
目的
2002 年から 2016 年の間に提出された、すべての血液培養(陽性および陰性の両方)を再調査すること。
方法
ウェールズの微生物学データウェアハウスにアクセスしてすべての血液培養結果を収集し、Excel の表に抽出し、変化点分析を用いて分析した。
結果
200,000 弱の血液培養結果を解析した。血液培養の提出数増加が明らかになったが、陽性率は期間を通して一定のままであり、大腸菌数の増加は採取された血液培養数の増加を反映した。このことにより、敗血症に関する認識に加え、迅速な診断と管理を目指した敗血症バンドルの使用による成功が明らかになった。
結論
敗血症管理という一分野における成功は、大腸菌菌血症の減少の「失敗」と矛盾している。目標はすべての入手可能な情報に照らし合わせて慎重に検討する必要があると言え、今のところ英国の National Health Service(NHS)を失敗に終わらせている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本検討では血液培養提出数が増加し、大腸菌菌血症の件数も増加していたが、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)の増加分は大腸菌よりも低かった(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌はやや低下)。なお 2 セット採取数は明らかにされておらず、また血液培養陽性率はおよそ 16%で横ばいである。このため大腸菌が増加した理由として、対象集団の特性の変化、感染症診断の向上、2 セット採取の推進、いずれが寄与したのか把握するのは実は難しいように思える。ただし採取数が増えれば陽性率は下がる傾向にあるため、さらに採取数が伸びれば、診断率もより向上する余地はあるであろう。また今後、高齢者の尿路感染症、胆道感染症の症例が増加すれば、大腸菌菌血症例のさらなる増加が認められるかもしれない。

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