電気化学的活性化溶液を用いた U 字管の自動化洗浄および消毒により、病院の複数の洗面台の微生物汚染リスクを同時に最小限に抑える
Minimizing microbial contamination risk simultaneously from multiple hospital washbasins by automated cleaning and disinfection of U-bends with electrochemically activated solutions
E.C. Deasy*, E.M. Moloney, M.A. Boyle, J.S. Swan, D.A. Geoghegan, G.I. Brennan, T.E. Fleming, M.J. O’Donnell, D.C. Coleman
*University of Dublin, Trinity College Dublin, Ireland
Journal of Hospital Infection (2018) 100, e98-e104
背景
病院の洗面台の U 字管における微生物バイオフィルムと関連する感染症のアウトブレイクの報告はますます増加傾向にある。以前の研究では、病院仕様ではない 1 つの洗面台において、U 字管の自動化汚染除去の試作法の有効性が確認された。その研究では、塩水から生成した 2 種類の電気化学的活性化溶液、すなわち洗浄特性を有する陰極液と消毒特性を有する陽極液が使用された。
目的
多忙な病院診療部における病院仕様の洗面台のU字管 10 本の汚染を同時に除去するために、大規模な自動化電気化学的活性化溶液を用いた処理システムを開発し試験すること。
方法
洗面台の排水口、U 字管、近位の廃水用配管に対して、自動的に 10 分間の陰極液処置、その後の 10 分間の陽極液処置を行うようなプログラムで制御されるシステムを開発し、週 3 回、5 か月にわたり実施した。未処置の洗面台 6 個を対照とした。U字管の定量的な細菌数を Columbia 血液寒天培地、Reasoner’s 2A 寒天培地、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)選択培地において、処置後および 24 時間後に測定した。
結果
U 字管処置による平均細菌密度(コロニー形成単位/スワブ)は、対照と比較して 3 logを超える減少を示し、すべての培地で減少は有意に大きかった(P < 0.0001)。24 時間後、すべての培地において、処置した U 字管の平均細菌数の有意な増加はみられなかった(P > 0.1)。試験中にもっともよく検出された微生物は緑膿菌であった。電子顕微鏡を用いた未処置の U 字管の内部試験では、洗面台の排水口接合部におよぶ密なバイオフィルムが観察されたのに対して、処置した U 字管にはバイオフィルムが存在しなかった。
結論
電気化学的活性化溶液を用いた、病院内の洗面台の複数の U 字管の同時自動化処置は、微生物汚染を一貫して最小限にするので、感染症の関連リスクも最小限に抑えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
最近、病棟や ICU に設置されたシンクやシンク配水管が感染の伝播に関連した可能性が否定できないという報告が増えている。本研究は、食塩水を電気分解することで発生する酸性水とアルカリ水を用いて、病院に設置された洗面台の排水管の消毒と洗浄を行うことにより、細菌の増殖やバイオフィルムの発生を抑えることができた、というものである。今後の、臨床での応用研究が期待される。
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