新生児集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)サーベイランスプログラムに対する薬剤に基づくネットワークモデルを用いた評価
Evaluating a neonatal intensive care unit MRSA surveillance programme using agent-based network modelling
N.D. Goldstein*, S.M. Jenness, D. Tuttle, M. Power, D.A. Paul, S.C. Eppes
*Christiana Care Health System, USA
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 337-343
背景
新生児集中治療室(NICU)におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus;MRSA)のサーベイランスは一般的な感染予防策であるが、病棟におけるモニタリングの最適な実施頻度は明らかでない。
目的
様々なサーベイランスの実施頻度について、シミュレーションモデルを用いて比較すること。
方法
6 か月間にわたり乳児 52 例の NICU ネットワーク 100 件のシミュレーションを行い、MRSA の伝播について評価した。病棟全体のサーベイランスを1、2、3、4 週間ごとに行った場合について、NICU の現行方針である動的サーベイランス(スクリーニング陽性が 1 件以上の場合は毎週、それ以外の場合は 3 週間ごと)と比較した。各サーベイランス期間について、保菌を有する乳児に除菌レジメン(56%の効果)を実施し、利用可能であれば隔離室に移動させた。
結果
サーベイランスの頻度が高くなるほど MRSA 保菌を有する乳児の平均数が減少し、サーベイランス実施当たりの検出件数が2.9 例(4 週間ごとのモニタリング)と高かったのが、0.6 例(毎週のモニタリング)と低くなった。保菌が持続する時間の平均は、307 時間(4 週間ごとのモニタリング)から 61 時間(毎週のモニタリング)に短縮した。その一方で、隔離室の利用可能な割合は逆の関連を示し、サーベイランスの頻度が高くなるほど隔離室の利用可能な割合は低下した(隔離成功率は、4 週間ごとのモニタリングでは 61%であったのに対し、毎週のモニタリングでは 49%)。動的サーベイランス方針では、2 週間ごとのサーベイランスプログラムの場合と同様の成績であった。
結論
効果的な MRSA サーベイランスプログラムには、資源の利用可能性と、保菌期間の延長により生じ得る不都合な点および侵襲性疾患発症の可能性とのバランスを取ることが必要とされる。より頻回のモニタリングにより除菌レジメンの使用が増加する一方、隔離室の利用可能な割合も低下する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
NICU における MRSA のスクリーニング検査実施頻度と MRSA 検出頻度や隔離頻度の関係について、シミュレーションを用いて評価した研究である。本研究ではスクリーニング検査実施頻度を増やした方が MRSA 検出頻度が低下するという結果であったが、MRSA 検出患者で除菌を行っているということも検出頻度や隔離頻度に影響を与えている。今後は様々な感染対策の有効性について、本研究のような実際のデータを用いたシミュレーションによる評価が主流になっていくのかもしれない。
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