高流行地域の長期急性期ケアリハビリテーション施設におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の疫学の多様性、および介入バンドルの評価★

2018.09.25

Diversity of the epidemiology of carbapenemase producing Enterobacteriaceae in long-term acute care rehabilitation settings from an area of hyperendemicity, and evaluation of an intervention bundle


F. Arena*, F. Vannetti, V. Di Pilato, L. Fabbri, O.L. Colavecchio, T. Giani, C. Marraccini, R. Pupillo, C. Macchi, F. Converti, G.M. Rossolini
*University of Siena, Italy
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 29-34
背景
流行地域の長期急性期ケアリハビリテーション施設はカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の影響を受ける。しかしながら、これらの施設では、さまざまな患者のサブグループへの影響について研究されていない。
目的
長期急性期ケアリハビリテーション施設における CRE の疫学および感染制御介入の影響を検討すること。
方法
イタリアの大規模な長期急性期ケアリハビリテーション施設において、サーベイランスプログラムを実施した。介入には、入院時と週 1 回(陰性患者に対して)の CRE 保菌のスクリーニング、保菌の疑い患者と確定患者に対する接触予防策とコホーティングの強化(病棟およびリハビリテーション区域)を含めた。CRE 保菌の有病率と発生率、CRE 菌血症の症例数を 1 年超にわたり監視した。
結果
全体として、患者 1,084 例でスクリーニングを実施した(遵守率 89.8%)。入院時に患者の 11.6%が保菌しており、入院時に陰性であった患者の 9.9%が入院後に保菌状態となった。これらの割合は、より高強度のケアを受けた重度脳損傷患者のほうが、他の病棟の患者よりも有意に高かった(それぞれ 44.1%対 8.6%、63.5%対 6.8%)。CRE 菌血症の大多数は重度脳損傷病棟で発生した。重度脳損傷病棟において、介入は CRE 保菌の発生率低下(リスク患者 100 例・週あたり 17.7 獲得から 7.2 獲得)と関連したが、他の病棟では関連しなかった。すべての CRE 分離株が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)産生 K. pneumoniae であった。
結論
イタリアの長期急性期ケアリハビリテーション施設では、脳損傷患者において CRE の保菌率と交差感染率が非常に高いという特有の疫学が観察された。脳損傷病棟における CRE 保菌の発生率低減を図る簡易化した感染制御バンドルが有効であった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
イタリアの長期急性期ケアリハビリテーション施設での CRE 保菌率を調べた研究である。より高度なケアが必要となる病棟での保菌率、交差感染率が高いこと、介入により改善はするが、なお他病棟よりは高いこと、が明らかになった。日本においても、高齢者施設や長期入院型の病院においては同様の状況が予測される。

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