韓国の入院患者における救急外来を介した結核感染:National Inpatient Sample を用いた傾向スコアマッチングによる分析

2018.09.25

Tuberculosis infection via the emergency department among inpatients in South Korea: a propensity score matched analysis of the National Inpatient Sample


J-Y. Min*, H-J. Kim, C. Yoon, K. Lee, M. Yeo, K-B. Min
*Seoul National University, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 92-98
背景
救急外来では伝播性のある感染症に曝露されるリスクが高く、それが結核の集団発生に関与してしまうこともある。
目的
救急外来を受診した患者で、結核感染のリスクが高いかどうかを明らかにすること。韓国の入院患者のサンプルデータ(2012 年)を用いて、救急外来を経て入院した患者の入院後 90 日以内の結核発症率を算出し、一般外来を通じて入院した患者のそれと比較した。
方法
健康保険審査評価院の National Inpatient Sample の 2012 年のデータを用いた。結核の診断は国際疾病分類第 10 版(ICD-10)に基づいた(全結核[A15-A19]、肺結核[A15-A16]および肺外結核[A17-A18])。
結果
患者の基本的属性と臨床的特性を傾向スコアでマッチングした後、191,997 例(64,017 例が救急外来を経て入院、127,908 例が一般外来を経て入院)を本研究に組み入れた。患者のベースライン特性に 2 群間で差は認められなかった。救急外来を経て入院した結核患者の割合は、一般外来を経て入院した結核患者の割合より高かった。活動性結核の発症率は、救急外来経由患者では一般外来を介して入院した患者と比較して、全結核(ハザード比[HR]1.30、95%信頼区間[CI]1.12 ~ 1.52)および肺結核(HR 1.30、95%CI 1.10 ~ 1.53)について 30%高く、この差は有意であった。しかし 2 群の肺外結核の発生率には差はなかった。
結論
結核感染の発生率は、救急外来を経て入院した患者のほうが一般外来を経て入院した患者より高かった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本研究は、入院後 90 日以内に院内で結核と診断された例において、全結核、肺結核、肺外結核の 3 種に分けた場合に、肺外結核以外において救急外来経由で入院した患者の方が発症率が高いことを示した。ただし救急外来経由患者は(一般外来経由患者と主属性に統計学的差異は明らかでなかったにしても)社会的状況や、基礎疾患の有無と種類、そのコントロールに差があり、それが把握できていない可能性は十分にある。これが結核発症に及ぼす影響も大きいと予想され、本検討の limitation になっているともいえる。

同カテゴリの記事

2018.11.24

Adaptive microbial response to low-level benzalkonium chloride exposure

2009.03.31

Norovirus in a Dutch tertiary care hospital (2002-2007): frequent nosocomial transmission and dominance of GIIb strains in young children

2019.05.10

Antifungal activity of octenidine dihydrochloride and ultraviolet-C light against multidrug-resistant Candida auris

2021.04.30

Healthcare-associated infections and the prescribing of antibiotics in hospitalized patients of the Caribbean Community (CARICOM) states: a mixed-methods systematic review

 

T. Wade*, C. Heneghan, N. Roberts, D. Curtis, V. Williams, I. Onakpoya

*University of Oxford, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 122-132