入院後のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の検出を図る連続スクリーニング培養の評価

2018.09.25

Evaluating serial screening cultures to detect carbapenemase-producing Enterobacteriaceae following hospital admission


S. Mookerjee*, E. Dyakova, F. Davies a, K. Bamford, E.T. Brannigan, A. Holmes, J.A. Otter
*St Mary’s Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 15-20
背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)は世界的に増加している。CPE の予防・制御のための英国のガイドラインでは、入院時の無症候性保菌者を検出するためのスクリーニングを推奨している。
目的
入院後の CPE や抗菌薬耐性グラム陰性菌の保菌の検出を図る連続スクリーニングの有用性を評価すること。
方法
発色酵素基質培地での培養およびポリメラーゼ連鎖反応により確認されたカルバペネマーゼの存在によって、すべての CPE スクリーニングを実施し、6 か月間分析した。英国のガイドラインでは、「リスク」患者の入院時スクリーニングにおいて、患者を隔離して、48 時間ごとに 3 回実施する CPE 連続スクリーニングが推奨されている。スクリーニングの 2 つのシナリオを検証した。シナリオ A では、英国のガイドラインに沿って既定の時点にスクリーニングを 3 回実施した。シナリオ B では連続スクリーニングを 3 回実施したが、1 回の入院中に必ずしも既定の時点内に実施するわけではなかった。保菌率のあらゆる有意な変化を検出するために、一般線形モデルまたは条件付きロジスティック回帰を用いた。
結果
検証した両シナリオの 3 つのいずれの時点においても、CPE 保菌の検出率に有意な増加はみられなかったが、シナリオ B では、グラム陰性菌、腸内細菌科細菌、耐性腸内細菌科細菌(CPE は除く)の保菌の検出率に有意な増加がみられた。
結論
入院時の CPE 保菌の検出において、3 回の連続スクリーニングは有用ではなかった。その他のグラム陰性菌の保菌率の増加は、既存の保菌の「顕在化」または院内獲得によって説明されうる。これは長期入院患者の定期的スクリーニングを支持するものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
スクリーニング方法は採取部位、検体種別、年齢、患者の状態、検体採取手技、検体の移送保管方法、検査方法などの多くにより変動する。こうした研究は多施設間共同研究で行うと信頼性が高くなる。また、新生児で得られた知見が成人でどうなのかは別途検証が必要であろう。

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