集中治療室の新生児における敗血症予測のためのグラム陰性菌の保菌のルーチンスクリーニング:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2018.08.23

Routine screening for colonization by Gram-negative bacteria in neonates at intensive care units for the prediction of sepsis: systematic review and meta-analysis


J. Seidel*, S. Haller, T. Eckmanns, T. Harder
*Robert Koch Institute, Germany
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 367-380
背景
新生児集中治療室において、グラム陰性菌による敗血症は罹患率および死亡率の重要な原因である。敗血症の予測と予防を目的とした新生児体表面のルーチンでの微生物学的スクリーニングの有益性については議論の余地がある。
目的
新生児の遅発性敗血症を予測するためのグラム陰性菌の体表面保菌のスクリーニングの予測的有用性を評価すること。
方法
遅発性敗血症を予測するための体表面スクリーニングの予測正確度を算出したデータについて報告されたあらゆるデザインの研究を対象に、システマティックレビューを実施した。バイアスのリスクを評価し、メタアナリシスを実施した。エビデンスの質は、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)法を用いて評価した。
結果
8 件の研究(すべてコホートデザイン)を適格とした。研究は、欧州、アジア、北米の 6 か国で実施され、参加者は計 4,829 例であった。全研究でバイアスのリスクが高かった。遅発性敗血症を予測する体表面スクリーニングの統合感度 は41%(95%信頼区間[CI]17 ~ 70)であったのに対し、統合特異度は 56%(95%CI 34 ~ 76)であった(階層化サマリー受信者動作特性[HSROC]モデル)。サブグループ解析では、スクリーニングを大腸菌(Escherichia coli)または肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)に絞った場合、特異度の統合推定値はより高かったが、感度の統合推定値はそうではなかった。GRADE 法によるエビデンスの質は非常に低かった。
結論
新生児の遅発性敗血症スクリーニングの予測的有用性に関して非常に質の低いエビデンスは少ない。遅発性敗血症の予測と予防において、体表面保菌ルーチンスクリーニングが潜在的に有用であることを明確にするために、無作為化試験など慎重に計画・実施される前向き研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
国内でも多くの施設で新生児の体表保菌スクリーニングが行われている。たとえば、便のスクリーニングで特徴的な細菌の検出割合が急増するなどの変化を捉えれば、それなりの意義はあるかもしれないが、漫然と保菌状況を監視する場合には耐性菌のスクリーニング培地を使用するなどの方法が必要であろう(体表面が適しているとは言いがたい)。

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