カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌アウトブレイクの制御のための唯一の解決法はコホーティングか?単一施設での試験
Is cohorting the only solution to control carbapenemase-producing Enterobacteriaceae
outbreaks? A single-centre experience
C. Legeay*, V. Thépot-Seegers, H. Pailhoriès, D. Hilliquin, J.-R. Zahar
*University of Angers, France
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 390-395
背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)は衛生上の重大な問題となっている。コホーティングは病院における CPE の拡散を制御する一助となりうるが、コストが高く実施が難しい。
目的
コホーティングが実施されたことのない病院において CPE の院内伝播と関連する病棟の変数を特定すること。
方法
院内伝播に関して連続した 14 日ごとの期間を比較する前向きコホート研究。各期間は以下の 2 つの条件を満たした。(i)CPE 保菌/感染で 48 時間以上入院した(ii)間接接触患者の 80 %が 2 回以上のスクリーニングを受けた。間接接触患者において CPE 感染症を獲得しなかった期間(a)と、1 件以上の CPE 感染症獲得が特定された期間(b)を比較した。CPE 伝播と関連する可能性のある変数、すなわち、保菌圧、医療従事者・患者比、手指衛生遵守、含水アルコール製品消費量、抗菌薬消費量、感染対策チーム(ICT)の病棟への関与について評価した。
結果
連続 2 週間から成る 68 の期間を対象として、このうち18(26.5%)の期間に 1 件以上の CPE 感染症獲得がみられた。多変量分析により、保菌圧(オッズ比[OR]1.12、95%信頼区間[CI]1.0 ~ 1.25、P = 0.042)、抗菌薬消費量(OR 2.41、95%CI 1.02 ~ 5.66、P = 0.044)は、CPE 院内伝播と関連した。医療従事者・患者比はこの両変数の影響を高めており、これは職員の不足が CPE 伝播に及ぼす影響を示唆するものである。
結論
CPE の拡散と関連する病棟の変数を理解することは、適切な解決法を策定する一助となりうる。保菌圧および抗菌薬消費は、医療従事者・患者比とともに院内伝播を惹起しているようである。保菌圧が高い状況では、CPE 保菌者を管理する専門の医療従事者が実践すべきである。ICT と抗菌薬適正使用支援チーム間の連携も、CPE の拡散の予防に極めて重要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
CPE がどのような経路で伝播するのかを考えれば、その対策は自ずと見えてくる。腸内細菌科細菌のリザーバは腸管であり、監視培養には便か直腸スワッブ検査が適しているし、手指衛生遵守にはそれなりの人手間を十分にあてがうことが必要である。いつまで排菌し続けているのか評価方法や考え方も重要である。
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