脳神経外科手術中の空中細菌汚染に対する可動型層流装置の効果

2018.07.31

Effect of mobile laminar airflow units on airborne bacterial contamination during neurosurgical procedures


A.-C. von Vogelsang*, P. Förander, M. Arvidsson, P. Löwenhielm
*Karolinska University Hospital, Sweden
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 271-278
背景
脳神経外科手術後の手術部位感染症(SSI)は生命を脅かす可能性があり、多大なコストを伴う。SSI は手術室の空中細菌によって発生することがあり、感染しやすい清潔手術中は超清浄空気が望まれる。ドアの開閉および手術室にいる人数が空気の質に影響する。水平層流式の可動型層流装置は空中細菌汚染を減少させることがこれまでに示されてきた。
目的
脳神経外科手術中の空中細菌汚染に対する可動型層流装置の効果を評価すること。
方法
準実験的デザインで、従来型乱流換気システムの手術室および付加的な可動型層流装置のある手術室において、能動的エアサンプリングにより脳神経外科手術中の細菌保有粒子(コロニー形成単位:cfu)を測定した。可動型層流装置は手術室間で月 1 回移動させた。培養後、cfu の測定および細菌種の検出を行った。データは 18 か月間収集した。
結果
脳神経外科手術 45 件中、合計 233 サンプルを収集した。可動型層流装置の使用により、手術部位領域(P < 0.001)および器械台の上(P < 0.001)の cfu 数が有意に減少した。ロジスティック回帰により、cfu 測定に有意に影響する唯一の予測因子は可動型層流装置の使用であることが示された(オッズ比 41.6、95%信頼区間 11.3 ~ 152.8、P < 0.001)。最も高頻度に検出された細菌はコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative staphylococci)であった。
結論
可動型層流装置は脳神経外科手術中の cfu を超清浄空気レベルまで良好に減少させる。感染しやすい脳神経外科の清潔手術において、主要な手術室の換気システムが超清浄空気を生成できない場合、可動型層流装置は有用である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
「主要な手術室の換気システムが超清浄空気を生成できない場合、可動型層流装置は有用である」ことは、この研究で明らかになった。実際には、可動型層流装置の使用が SSI の発生にどのように影響するかが知りたいところである。

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