2011 年から 2015 年の 4 回のインフルエンザシーズンの間に介護施設で発生した呼吸器系アウトブレイクの特徴
Characteristics of respiratory outbreaks in care homes during four influenza seasons, 2011-2015
N. Gallagher*, J. Johnston, H. Crookshanks, C. Nugent, N. Irvine
*Public Health Agency Belfast, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 175-180
背景
介護施設環境において、インフルエンザと他の呼吸器感染症は急速に伝播し、深刻な罹患率および死亡率の原因となる可能性がある。
目的
本研究は北アイルランドの介護施設で 4 年間に発生した呼吸器系アウトブレイクの特徴について記述し、インフルエンザ陽性として特定される可能性が高い呼吸器系アウトブレイクはどれか予測する因子を明らかにすることを目的とする。
方法
本研究期間中のアウトブレイクに関する疫学的、ウイルス学的および臨床的特徴を記述した。インフルエンザに陽性反応を示すアウトブレイクの予測因子を特定するため、届出時に収集した変数を比較した。t 検定を用いて平均値を、χ2 検定を用いて割合を比較し、有意水準は 95%とした。
結果
介護施設では 4 回のシーズンの間に呼吸器系アウトブレイクが 95 件報告され、そのうち 70 件がインフルエンザとして確認された。1,000 例超の症例が報告され、関連する入院は 135 例、死亡は 22 例であった。入居者のワクチン接種率は一貫して高かった(平均 86%)。しかし職員のワクチン接種の報告は不十分であり、報告された場合も一貫して接種率は低かった(平均 14%)。届出までの時間および届出時の症例数は、両方ともアウトブレイクの報告に関する国の推奨に従った予想を上回った。インフルエンザ反応陽性のアウトブレイクに関する臨床的に意味のある予測因子は特定されなかった。
結論
介護施設における呼吸器系アウトブレイクは、高いワクチン接種率にもかかわらず著しい罹患率および死亡率に関連していた。アウトブレイクの届出時にインフルエンザ感染を正確に予測するための指標の欠如は、迅速な報告および臨床検査の必要性を浮き彫りにしている。職員の意識を高めること、国のガイダンスに従った呼吸器系アウトブレイクの管理をトレーニングすること、および職員のワクチン接種率を改善することが推奨される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
イギリスの介護施設における呼吸器アウトブレイクの疫学的特徴を示した論文である。5年間に 1,000 例以上の患者、22 人の死者を含む 95 の呼吸器アウトブレイクが報告され、職員の低いインフルエンザワクチンの接種率など課題が浮き彫りになった。
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