小児における抗菌薬適正使用支援プログラムの役割:システマティックレビュー
Role of antimicrobial stewardship programmes in children: a systematic review
A.R. Araujo da Silva*, D.C. Albernaz de Almeida Dias, A.F. Marques, C. Biscaia di Biase, I.K. Murni, A. Dramowski, M. Sharland, J. Huebner, W. Zingg
*Federal Fluminense University, Brazil
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 117-123
国連および世界保健機関は、薬剤耐性(AMR)を健康上の重要な優先課題としており、あらゆる医療環境において AMR を低減するための行動計画を策定した。施設における抗菌薬適正使用支援プログラムの確立が、病院における抗菌薬消費を抑制し、多剤耐性細菌の高い検出率に対処するための重要な介入として推奨されている。PUBMED および Cochrane Database of Systematic Reviews(2007 年 1 月から 2017 年 3 月)を検索して、一般小児科病棟および小児集中治療室(PICU)において抗菌薬消費、広域スペクトル抗菌薬/制限抗菌薬の使用、ならびに抗菌薬耐性および医療関連感染症を抑制するための抗菌薬適正使用支援プログラムの有効性を報告した研究を特定した。新生児病棟および抗真菌薬は除外した。2,509 件の論文および抄録のうち、9 件の論文を適格として最終解析の対象とした。すべての研究が、広域スペクトル抗菌薬/制限抗菌薬の使用または抗菌薬消費の減少を報告した。1 件の研究は、PICU における医療関連感染症の減少を報告し、別の 1 件の研究は細菌の耐性を評価して抗菌薬適正使用支援プログラム導入後に影響がなかったことを示していた。抗菌薬使用に関する前向きの監査が、抗菌薬適正使用支援プログラムで最も多くみられた中心的な要素であった(研究 9 件中 8 件)。抗菌薬使用の事前許可が 2 件の研究で報告されていた。報告されていた他の介入は、ガイドラインや書面による情報の提供(研究 9 件中 5 件)、および医療専門家のトレーニング(研究 1 件)であった。特に PICU において、抗菌薬適正使用支援プログラム導入後における抗菌薬消費、および広域スペクトル抗菌薬/制限抗菌薬の使用の減少を示したエビデンスは限られている。抗菌薬適正使用支援プログラムが PICU における医療関連感染症および抗菌薬耐性に及ぼす影響を評価したデータは不足している。PICU において、抗菌薬適正使用支援プログラムを成功させる効果的な要素に関する情報も限られている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
抗菌薬適正使用支援プログラムも小児医療の背景に合わせた、至適化が必要である。しかも年齢でそのあり方も変化する。未熟児、新生児、乳幼児、学童など、小児期も様々である。
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