極低出生体重児における動脈管開存症に対する外科的結紮術後の感染症

2018.05.31

Infections following surgical patent ductus arteriosus ligation in very-low-birthweight neonates


K. Kopeć -Godlewska*, J. Wójkowska-Mach, on behalf of the Polish Neonatology Surveillance Network Team
* Jagiellonian University Medical College, Poland
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 62-67
背景
ポーランドでは、極低出生体重児(1,500 g 未満)は生産児の約 1%を占める。動脈管開存症は早産児に発生しやすい合併症のひとつである。本研究の目的は、対象の新生児集中治療室において治療を受けている極低出生体重児のうち、何例が動脈管開存症の外科的整復を必要とするか検討すること、また各種の術後感染症の発生率および微生物学について評価することであった。
方法
ポーランドの新生児科サーベイランスネットワークが 5 つの新生児部門において観察研究を実施した。2,039 例の極低出生体重児が含まれ、そのうち 103 例(5.1%)が動脈管開存症に対する外科的結紮術を必要とした。2009 年から 2013 年の間に継続的な感染症サーベイランスが行われ、感染症は Gastmeier の基準に基づいて定義された。
結果
動脈管開存症手術は多胎妊娠により出生した乳児において必要となる頻度が有意に高く、また多胎妊娠では羊膜炎が分娩を困難にしていた。動脈管開存症の外科的整復は、平均して生後 19 日の時点で実施された。感染症の発生率は 48.5%(N = 50)であり、また、最も頻度が高い感染症は血流感染(26.2%)および肺炎(22.3%)であった。手術日と感染時には相関性が認められ、より早期に動脈管開存症手術を受けた新生児では、より早期に感染症が発生した(P = 0.032)。CRIB(Clinical Risk Index for Babies)スコアが高値であることおよび絨毛膜羊膜炎は、感染症の存在に有意に関与した。
結論
動脈管開存症手術を行う時期が遅いほど、感染症の発生も遅くなった。極低出生体重児における動脈管開存症整復後の感染症発生率は、入院しているすべての極低出生体重児における感染症発生率と同程度であった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
本研究のような特定の患者に発症する特定の疾患に関する術後感染症(手術部位感染に限らない)は症例数も少なく、単施設でサーベイランスを行うのは困難である。本観察的・記述的研究では PDA の定義が統一されておらず、また様々な情報が欠落しているというリミテーションが指摘されているものの、PDA に対する手術のタイミングについての検討を促す興味深い結果である。

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