医療関連感染症電子サーベイランスソフトウェアが感染予防リソースに及ぼす影響:文献のシステマティックレビュー

2018.05.31

Impact of electronic healthcare-associated infection surveillance software on infection prevention resources: a systematic review of the literature


P.L. Russo*, R.Z. Shaban, D. Macbeth, A. Carter, B.G. Mitchell
*Deakin University, Australia
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 1-7
背景
医療関連感染症サーベイランスは感染予防にとって基本である。サーベイランスの方法と実践は、技術の発達に伴って進化してきた。電子サーベイランスソフトウェアの利用可能性が高まってきたが、電子サーベイランスソフトウェアの採用は進んでいない。電子サーベイランスソフトウェアは自動化によって、特に人的リソースの確保と感染予防スタッフの時間に関して節約をもたらすと主張されている。
目的
電子サーベイランスソフトウェアが感染予防リソースに及ぼす影響に関するシステマティックレビューの結果を報告すること。
方法
2006 年 1 月 1 日から 12 月 31 日に発表された Medline および Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature(CINAHL)の電子データベースについて系統的な検索を実施し、Newcastle-Ottawa Scale を用いて分析を行った。
結果
合計で 2,832 報の論文をレビューし、そのうち 16 研究が組み入れ基準を満たした。感染予防リソースは、サーベイランスにかかった時間として同定した。13 研究で、感染予防スタッフがサーベイランスの実施にかけた時間の短縮を示していた。短縮の割合は 12.5%から 98.4%の範囲(平均 73.9%)であった。残り 3 研究からは、感染予防スタッフの時間に関する影響を推定することはできなかった。いずれの研究も、感染予防スタッフの時間の延長を示したものはなかった。
結論
本レビューの結果から、電子サーベイランスソフトウェアの採用により、高いレベルの感度と特異度を維持しながら、データ収集および症例確認に関わる感染予防スタッフの時間がかなり節減されることが示される。このことにより、不足している感染予防リソースの効率的な使用を最大限にするための、感染予防の他の要素に対する再投資が可能になるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
電子サーベイランスも人為的なサーベイランスも運用によって実際との精度差は必ず生ずる。電子サーベイランスの良い点は、省力化・同じ条件を維持して情報収集ができるなどの点があるが精度を担保するには、定期的に人為的なサーベイランスとの比較検討が一定の間隔で必要となるだろう。

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