イタリア、リグーリアの急性期病院における医療関連感染症および抗菌薬使用の地域点有病率研究
Regional point prevalence study of healthcare-associated infections and antimicrobial use in acute care hospitals in Liguria, Italy
C. Sticchi*, M. Alberti, S. Artioli, M. Assensi, I. Baldelli, A. Battistini, S. Boni, G. Cassola, Elio Castagnola, M. Cattaneo, N. Cenderello, M.L. Cristina, A.M. De Mite, P. Fabbri, F. Federa, D.R. Giacobbe, D. La Masa, C. Lorusso, K. Marioni, V.M. Masi, B. Mentore, S. Montoro, A. Orsi, D. Raiteri, R. Riente, I. Samengo, C. Viscoli, R. Carloni a, The Collaborative Group for the Point Prevalence Survey of healthcare-associated infections in Liguria
*Health Regional Agency, Italy
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 8-16
背景
医療関連感染症(HCAI)および抗菌薬使用のモニタリングの重要性を鑑みて、2016 年 3 月から 4 月にかけてリグーリアにおいて地域点有病率調査を実施した。
目的
すべての公共病院において、HCAI の全有病率を算出し、抗菌薬の使用を明らかにすること。
方法
リスク因子および抗菌薬使用に関するデータを、各入院患者について収集した。HCAI と有意に関連する変数を明らかにするため、単変量および多変量解析を実施した。感染症および抗菌薬使用の標準化発生率比を、各参加病院について算出した。
結果
患者計 3,647 例を組み入れた。合計で HCAI 429 件が 376 例で診断され、HCAI の有病率は 10.3%であった。気道(21.7%)および尿路(20%)が、最も頻度の高い感染部位であった。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)(47.4%)およびカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)(26.3%)が高率に分離された。患者の 46 %が、少なくとも 1 つの抗菌薬投与を受けていた。βラクタム阻害薬を含むペニシリン系配合剤(24.1%)が最も広く使用されており、主な適応は市中獲得型感染症(46.7%)であった。
結論
HCAI の有病率には、2007 年に実施された同様の調査と比べて上昇がみられたが、類似した調査の実施は、より信頼度の高い考察を可能にするであろう。しかしながら、抗菌薬耐性および抗菌薬使用に関するデータは、全国的な傾向と一致している。有病率研究は、方法論上の限界があるにもかかわらず、HCAI の経時的なモニタリングを行い、またすべての利害関係者にこの問題についてさらなる注意喚起を促す上で有用である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
抗菌薬消費動向を耐性菌検出動向と同時に経時的な変化を捉えることは、抗菌薬選択圧を確認する指標となる。適正使用を促す観点からもこうしたサーベイランスの実施は重要である。
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