パラダイムを変える:手指衛生教育および監査に関するクラスター解析からのメッセージ
Changing the paradigm: messages for hand hygiene education and audit from cluster analysis
D.J. Gould*, D. Navaïe, E. Purssell, N.S. Drey, S. Creedon
*Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 345-351
背景
手指衛生は、最も優れた感染予防策と見なされている。手指衛生のメッセージを医療従事者がどのように受け入れ、理解しているかが、多くの場合に不良な成績を改善するためのイニシアティブの成功および持続可能性に貢献すると考えられる。
方法
イングランドにおける 3 つの国民保健サービス(NHS)トラストの救急医療病棟の看護師に対する調査を実施して、手指衛生に関する意見、擦式アルコール製剤の使用、成績のフィードバックを伴う監査、および手指衛生に関するその他の主要な論点について調べた。データを記述的手法で分析し、クラスター解析を行った。
結果
3 つの主要な意見のクラスター(各々が重要なグループを形成)が可視化された:肯定的な態度、実用的な考え方および懐疑的な考え方。クラスターが小さいほど、手指衛生を実行する能力について罪悪感を感じている可能性が高いことを示唆した。
結論
クラスター解析により、これまでに疑われてこなかった手指衛生に関する信念の表れが、行動の妥当な説明を提供するものとして同定された。医療従事者は、そうした信念によって教育や監査に対して異なる反応を示す可能性がある。肯定的な意見を主として持っている人は、手指衛生方針を遵守し、感染予防リンクナースや手指衛生擁護者と同様の成績を示す。実用的な態度を持っている人は、専門家として行動する必要性と、自らを感染症から保護する必要性に対して、好意的に反応するようである。手指衛生の重要性について懐疑的な人に対しては、ガイドラインを遵守するよう促すためにより強い説得が必要となる可能性がある。遵守率を高めるための介入は、様々な信念に対応するために、十分に広い範囲を視野に入れる必要がある。その他に、手指衛生の信念に関するクラスター解析は、特定の臨床環境において最も効果的な教育およびモニタリングの戦略を特定するために用いることができるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
アンケート結果をクラスター解析するという新しい分析手法で、効果的な教育およびモニタリングのための資料とする試みである。同じような言葉を巧みに変更して、背景にある個人の医療者の心理を評価しようとしている。ここまでは良いが、そのデータをどのように改善に反映されるかまでの検証をした上で論文化して欲しかった。
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