カンジダ・オーリス(Candida auris)に対する表面消毒の検証:in vitro 試験
Surface disinfection challenges for Candida auris: an in-vitro study
R. Kean*, L. Sherry, E. Townsend, E. McKloud, B. Short, A. Akinbobola, W.G. Mackay, C. Williams, B.L. Jones, G. Ramage
*Dentistry and Nursing, College of Medical, Veterinary and Life Sciences, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 433-436
多剤耐性を示す新興病原性酵母であるカンジダ・オーリス(Candida auris)は、医療関連感染の重要な感染源の一つであり、臨床上、世界的にも懸念が高まっている。この病原体は表面で生存し、また環境的ストレスに抵抗するという能力を持っており、そのことが病院からの根絶を困難にしている。様々な表面環境における、標準的な消毒薬である次亜塩素酸ナトリウムおよび高水準消毒薬である過酢酸の効果を、複数のC. auris の臨床分離株を用いて評価した。C. auris は、臨床的に用いられる濃度の次亜塩素酸ナトリウムおよび過酢酸に対して、表面依存的に、選択的に耐容性を示したが、このことが病院環境内で本菌がうまく生き残る能力を説明できる可能性がある。
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監訳者コメント:
C. aurisが初めて報告されたのは本邦からである(2009 年、Satoh K et al.)。その後世界各地から報告が相次ぎ、多剤耐性であることもあいまって、新興感染症として重大な脅威となっている。存在箇所、ニッチ、医療環境での分布については不明の点が多いが、本菌の増加に消毒薬抵抗性が関わっている懸念はかねてから示されていた。今回セルロース、ステンレス、ポリマーについて次亜塩素酸、過酢酸を用いて調査したが、どのような環境条件が生存に最も有利であるのか、さらに Candida 属の他菌種とどのように異なるのか、今後も引き続き多くの知見の蓄積が必要であろう。
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