直腸検体からのカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の至適検出:豊富な含有が果たす役割?
Optimal detection of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae from rectal samples: a role for enrichment?
H. Ciesielczuk*, L.M. Phee, H. Dolphin, M. Wilks, B.P. Cherian, D.W. Wareham
*Barts and the London NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 270-274
背景
サーベイランスのため患者から採取した検体からカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)を検査室で検出できるようになることは、診断における課題である。CPE スクリーニング用の直腸スワブ検査の標準法がないことから、CPE の同定には、多数の表現型、遺伝子型、培養および非培養に基づくアッセイが提案されてきた。
目的
OXA-48 様カルバペネマーゼを産生する CPE をはじめ、高頻度で遭遇するすべての CPEを同定可能な CPE スクリーニングのプロトコールを開発および至適化すること。
方法
2016 年 3 月から 8 月に診断用サンプルおよび CPE 直腸スクリーニングから分離されたCPE と推定される507株で、ファロペネムに対する感受性検査を実施した。CPE 検出に至適な方法を決定するため、この CPE スクリーニング法の結果を、テモシリンを豊富に含有した培地である mSuperCARBA™ を用いた直接培養での結果および抗菌薬耐性アルゴリズム使用の結果と比較した。
結果
ファロペネムは、カルバペネマーゼ産生の予測因子として不十分であった(真陽性率 58%)。
テモシリンを豊富に含有する培地と抗菌薬耐性表現型の解釈的判読の組み合わせによって、CPE の検出および同定は有意に改善し(真陽性率91%)、特に OXA-48 産生 CPE において顕著であった(P = 0.03)。
結論
テモシリンを豊富に含有する選択的発色性培地と、抗菌薬耐性に基づくアルゴリズムの組み合わせによって、ルーティンでのサーベイランスおよびターゲットを絞ったサーベイランスのサンプルからの全 CPE の検出率が改善した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
耐性菌の保菌者を検出するスクリーニング検査において、近年特に問題になっている CPEを検出する標準的な方法が存在しないのは上記の通りである。また検出したいカルバペネマーゼの種類によってもおそらく最適な検査は異なることが予想される。本論文で特に陽性的中率の高かった OXA-48 というカルバペネマーゼは日本では少なく、日本で多いIMP-1 あるいは IMP-6 といったメタロベータラクタマーゼの産生菌を効率良く検出する方法が望まれている。
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