接触患者における OXA-48 産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)獲得のリスク因子:多施設共同研究
Risk factors for acquisition of OXA-48-producing Klebsiella pneumoniae among contact patients: a multicentre study
D. Hilliquin*, R. Le Guern, V. Thepot Seegers, C. Neulier, A. Lomont, V. Marie, C. Legeay, J. Merrer, D. Lepelletier, A.M. Rogues, B. Grandbastien, J.C. Lucet, J.R. Zahar
*Unité de Prévention et de Lutte contre les Infections Nosocomiales, France
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 253-259
背景
入院中のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)保菌者のコホーティングは、院内拡散を抑制する。
目的
コホーティングが行われていない集団において、初発患者と接触した患者の CPE 獲得のリスク因子を特定すること。
方法
多施設共同後向きマッチド症例対照研究を 5 病院で実施した。初発患者から OXA-48 産生肺炎桿菌を獲得した接触患者(症例)各例を、同じ病棟内の入院および同様の曝露時間でマッチさせた、同じ初発患者と接触した患者(対照)3 例と比較した。
結果
2 次症例 51 例と対照 131 例を組み入れた。単変量解析により、曝露時間(オッズ比[OR]1.06、95%信頼区間[CI]1.02 ~ 1.1、P = 0.006)、入院時の併存感染症(OR 3.23、95%CI 1.42 ~ 7.35、P = 0.005)、入院前 1 か月以内の抗菌薬療法(OR 2.88、95%CI 1.34 ~ 6.2、P = 0.007)、曝露期間中の抗菌薬療法(OR 5.36、95%CI 2.28 ~ 12.6、P < 0.001)、1 件以上の侵襲的手技の使用(OR 2.99、1.25 ~ 7.15、P = 0.014)、侵襲的手技の件数(OR 1.52、95%CI 1.05 ~ 2.19、P = 0.025)、および地理的近接性(OR 2.84、95%CI 1.15 ~ 7.00、P = 0.023)が、CPE 獲得と関連していた。多変量解析では、曝露期間中の抗菌薬療法(OR 6.36、95%CI 2.46 ~ 16.44、P < 0.001)、1 件以上の侵襲的手技の使用(OR 2.92、95%CI 1.04 ~ 8.17、P = 0.041)、および地理的近接性(OR 3.69、95%CI 1.15 ~ 11.86、P = 0.028)が獲得と関連していた。
結論
本研究において、地理的近接性、侵襲的手技、および曝露期間中の抗菌薬療法が、OXA-48 産生肺炎桿菌獲得と有意に関連していた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
CPE 保菌患者がコホーティングされていない環境での、感染伝播のリスク因子を検討した論文である。今回の結果からコホーティングが感染伝播の抑制にどれぐらい寄与するかは判断が難しいと思われた。ちなみに「地理的接近性」は、この論文では「隣り合った病室あるいは向かいの病室」を意味している。これについて著者らは環境の汚染と医療従事者による伝播の可能性を述べていた。
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