医療従事者のニーズに応える準備と重要性:エボラウイルス病に関する質的研究★

2018.02.28

Preparedness and the importance of meeting the needs of healthcare workers: a qualitative study on Ebola


E. Belfroid*, J. van Steenbergen, A. Timen, P. Ellerbroek, A. Huis, M. Hulscher
*Radboud University Medical Center, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 212-218
背景
感染症のアウトブレイクは、曝露リスクを伴い通常と異なる新たな事象をもたらし、医療従事者はその中で特有の課題に直面する。例えば、感染への恐怖や、不慣れな環境における新規の未知の任務は、アウトブレイク管理を困難にしている可能性がある。
目的
エボラウイルス病が疑われる患者に対応した医療従事者の経験を入手することで、医療組織が医療従事者のニーズにどのように応える準備ができるか理解を深めること。
方法
オランダの大学病院に勤務する 20 名および地域の救急サービスに勤務する 3 名からなる 23 名の医療従事者に、綿密なインタビューを行った。2014 年から2015 年の間にエボラウイルス病が疑われる患者のケアを行った、またはエボラウイルス病が疑われる患者の入院準備チームにいた医療従事者をインタビューに招いた。
結果
医療従事者はストレスを受け不安を感じていたが、多くは自身の全般的な経験を肯定的に評価した。報告された経験は、3 つの主要テーマ、すなわち(i)脅威の新規性、(ii)感染リスクおよび伝播の恐怖、(iii)過剰な注目、に関連する経験として分類された。本研究の結果により、危機に適した支援的な職場環境の重要性が明確に示された。
結論
エボラウイルス病が疑われる患者に対処した医療従事者の経験は、感染性の高い疾患に対する包括的な準備を向上させる可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
アウトブレイクに対する危機管理状況下での、医療従事者の意識・ストレスと職場環境 - 本研究はエボラウイルス病の事例を扱っているが、これは他の病原体にも共通する普遍的かつ極めて重要な課題である。輸入感染症に備えるような受動的な状況で、医療従事者がそのリスクをどのようにとらえ、精神的に対応していくか、そしてそれをサポートするシステムの構築はどうするのか。現場での状況を鑑みたとき、考えさせられる面は多い。

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