対照観察研究の最新メタアナリシス:プロトンポンプ阻害薬とクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症のリスク
Updated meta-analysis of controlled observational studies: proton-pump inhibitors and risk of Clostridium difficile infection
F. Cao*, C.X. Chen, M. Wang, H.R. Liao, M.X. Wang, S.Z. Hua, B. Huang, Y. Xiong, J.Y. Zhang, Y.L. Xu
*Fuzhou Medical College of Nanchang University, China
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 4-13
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の間に存在すると考えられる関係に対して、近年注意が向けられている。しかし、CDI と PPI の関連に関する諸研究の結果には、依然として議論がなされている。我々は、酸抑制療法と CDI の関連を検討した対照観察研究を含めて、言語について限定せずに、文献データベースを 2016年 12 月の開始時から検索した。50 報の研究の統合解析から、PPI 使用と CDI 発症リスクの間に、PPI 非使用者と比較して有意な関連が示された(オッズ比 [OR]1.26、95%信頼区間[CI]1.12 ~ 1.39)。研究の対象患者で層別化したところ、院内獲得型 CDI と市中関連 CDI の相対リスクは、それぞれ 1.29(95%CI 1.14 ~ 1.44)および 1.17(95%CI 0.74 ~ 1.59)であった。病棟により研究を限定したところ、集中治療室中および一般病棟における院内獲得型 CDI の相対リスクは、それぞれ 1.43(95%CI 0.74 ~ 2.11)および 1.29(95%CI 1.13 ~ 1.45)であった。累積メタアナリシスを実施したところ、2000 年代初めに実施された初期の CDI の試験では、不均一性の程度が高いことおよび否定的な結果の割合が大きいことが示されたことが明らかになった。2011 年以降、PPI使用と CDI 発症リスクとの間の全般的な関連は比較的一定を維持し、効果量は OR 1.20 ~ 1.26 であった。本研究の所見から、PPI 使用者における CDI 発症には、特に一般病棟の患者において有意な関連リスクが示されている。累積メタアナリシスを用いた場合、エビデンスは総体として、さらなる試験によってこの有意な結果が覆される可能性は低いことを示している。したがって、PPI 使用のガイドラインを確立することは、将来的に CDI の制御に有用となる可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
臨床研究の解析において多くの因子が絡む場合、総じて圧倒的な有意差が生じない分析結果が生じた場合、その意義の評価が難しい。多施設間共同で同じプロトコルで圧倒的な規模での臨床治験をもって評価するのが唯一の方策である。この対照観察研究の最新メタアナリシスの結果においても同様のことがいえる。
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