実際の状況下での集中治療室における院内感染起因病原体による環境汚染を研究するための横断的点有病率調査

2018.01.31

Cross-sectional point prevalence survey to study the environmental contamination of nosocomial pathogens in intensive care units under real-life conditions


I. Wille*, A. Mayr, P. Kreidl, C. Brühwasser, G. Hinterberger, A. Fritz, W. Posch, S. Fuchs, A. Obwegeser, D. Orth-Höller, C. Lass-Flörl
*Medical University of Innsbruck, Austria
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 90-95
背景
集中治療室(ICU)では、無生物表面および用具は多剤耐性病原体を含む院内感染起因病原体によって汚染されている可能性がある。
目的
実際の状況下での患者の周辺と遠方の環境汚染の程度、および院内感染起因病原体による医療従事者の手指汚染を評価すること、さらに伝播事象の可能性について検討すること。
方法
3 週間にわたり、オーストリア、インスブルックの3 次病院 1 施設 8 カ所の ICU において、患者の周辺および離れた箇所と、医療従事者の手指について寒天培地を接触させて検体を採取した。各 ICU への訪問は1回で、予告なしに行った。菌種の同定と薬剤感受性試験は標準的な方法に従って行い、患者、環境、そして手指に由来する同一の菌種については、パルスフィールド・ゲル電気泳動を用いて遺伝子型の判定を行った。
結果
523 検体が採取されたが、その中で医療従事者の手指は病原性を有する細菌に汚染されている頻度が最も高かった(15.2%)。患者の周辺箇所(10.9%)、離れた箇所(9.1%)がそれに続いた。グラム陽性菌が最も高頻度に分離され(67.8%)、菌種としては腸球菌属(Enterococcus spp.)が最も多く(うち 70%がバンコマイシン感受性、30%がバンコマイシン耐性)、それに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が続いた(64%はメチシリン耐性)。遺伝子型の決定により、患者、環境および手指から分離された菌は同一の菌株であることが判明した。
結論
本研究により、清掃および消毒にもかかわらず、多剤耐性病原体を含む臨床的に重要な病原体による ICU 環境の広範な汚染を確認した。バイオバーデン(微生物の菌数が多いこと)は患者の周辺区域に限定されない可能性がある。感染予防を向上させるため患者の遠方区域まで環境消毒を拡張することについては、さらなる議論が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
患者環境の微生物の汚染と、その汚染された環境からの伝播は、我々が予想しているよりも多いものであろう。今回の検討では、環境と医療従事者の手から同一と思われる菌種を分離することができたが、特に腸球菌が多く、これは患者・環境・医療従事者の間に相互の伝播関係が成立し、それもコントロールがかなり難しいことを示唆している。医療従事者が「動く」媒介になってはいるものの、環境の「見えない汚染」に対する清掃を患者から離れた箇所も想定しながら行い、徹底していくことには、現場の状況を鑑みた細かな配慮、スタッフの意識の変容、清掃の理解と実施可能性など、課題は多い。

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