狭い内腔を有する歯科用ハンドピースに対するノンバキューム方式とバキューム方式滅菌プロセスにおける温度測定法を用いた蒸気浸透の比較検討★
Investigating steam penetration using thermometric methods in dental handpieces with narrow internal lumens during sterilizing processes with non-vacuum or vacuum processes
S. Winter*, A. Smith, D. Lappin, G. McDonagh, B. Kirk
*University of Glasgow, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 338-342
背景
歯科用ハンドピースは、患者が使用する間に滅菌を行う必要がある。内腔のある中空デバイスには、特定の医療用デバイスに対してプレポストバキューム方式または単一サイクルを用いるバキューム方式蒸気滅菌プロセスを用いて、空気除去を行う必要がある。残存空気は必要な滅菌状態の達成を妨げることになる。多くの国や専門組織は、歯科用ハンドピースに対して現在もノンバキューム方式滅菌プロセスを推奨している。
目的
歯科用ハンドピースに対するノンバキューム方式重力置換式の N 型蒸気滅菌において、ハンドピースの異なる部位について滅菌温度を達成するために要する時間を温度測定法を用いて検討すること。
方法
ハンドピースのエアタービン内の複数部位で、熱電対とデータロガーを用いて温度測定を行った。英国で広く用いられている 2 種類のベンチトップ型蒸気滅菌装置として、ノンバキューム方式ベンチトップ型滅菌装置(Little Sister 3、Eschmann、Lancing、英国)およびバキューム方式ベンチトップ型滅菌装置(Lisa、W&H、Bürmoos、オーストリア)を対象として検討した。3 つのハンドピースに対して各滅菌装置サイクルを完了し、各サイクルを 3 回繰り返した。
結果
歯科用ハンドピース内腔内で計 140 回の測定を記録した。ノンバキューム方式プロセス(時間の範囲:0 ~ 150 秒)では、国際標準で規定された時間範囲(平衡時間 15 秒)内に確実に滅菌温度を達成することができなかった。ハンドピース基部の測定点では、すべての試験ラン(N = 9)で国際標準を満たすことができなかった。プレポストバキューム方式蒸気滅菌 B 型プロセスでは、達成失敗は認められなかった。
結論
ノンバキューム方式重力置換式の N 型蒸気滅菌プロセスは、歯科用ハンドピース内において滅菌条件を確実に達成できず、ハンドピース基部は達成の失敗が最も起きやすい部位である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
歯科用ハンドピースは国内で約半数しか個々の患者ごとに洗浄・滅菌されていないことが、2017 年度に実施された厚生労働省の研究班の報告に上がっている。その上、適切な方法で滅菌されていないとなると、今後滅菌保証の観点からもサーベイが必要になろう。
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