内視鏡の乾燥処理とその落とし穴

2017.12.25

Endoscope drying and its pitfalls


J. Kovaleva*
*Centre for Medical Analysis, Belgium
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 319-328
内視鏡チャンネルの不十分な乾燥処理は、保管中における残存病原体の複製および生存の原因となり得る。汚染可能性のある水が保管中の内視鏡チャンネル内に存在することは、細菌の増殖とバイオフィルムの形成を促進する可能性がある。不完全な乾燥処理手順または乾燥処理の不実施、および垂直の状態で保管しないことは、乾燥処理時および内視鏡保管時に最も多く認められる問題である。不十分な乾燥処理および保管手順は、不十分な洗浄および消毒とともに、内視鏡の汚染と内視鏡手技後の感染症の最も重要な原因である。軟性内視鏡は、自動内視鏡洗浄装置により手動で、または乾燥/保管キャビネット内で乾燥処理を行う場合がある。内視鏡チャンネルに対しては、70 ~ 90%エチルまたはイソプロピルアルコールによる洗浄後、通風乾燥を行うことがいくつかのガイドラインで推奨されている。現行のガイドラインでは、軟性内視鏡は、閉鎖した換気されたキャビネットで、垂直の状態で保管することが推奨されている。乾燥/保管キャビネットは乾燥システムを備えており、濾過した乾燥空気を循環させて内視鏡チャンネル内に通すようになっている。内視鏡の洗浄に関する複数のガイドラインは互いに一貫していないか、軟性内視鏡の乾燥および保管に関する正確な推奨を規定していないかのいずれかである。再消毒が必要となるまで、また汚染リスクが生じるまで安全に内視鏡を保管できる期間について、決定的なエビデンスは存在しない。疾患伝播と院内感染のリスクを最小化するために、ガイドラインが互いに一貫したものとなるよう、諸ガイドラインの修正と見直しが推奨される。
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監訳者コメント
細長い空洞の管壁に水分が付着した場合、乾燥させるのは至難の技である。安定的にチャンネル内を完全に乾燥するには専用のデバイスが必要であろう。

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