流行国の病院における感染制御介入とカルバペネム耐性腸内細菌科細菌発生率との関連
The association between infection control interventions and carbapenem-resistant Enterobacteriaceae incidence in an endemic hospital
K. Hussein*, G. Rabino, O. Eluk, S. Warman, S. Reisner, Y. Geffen, L. Halif, M. Paul
*Rambam Health Care Campus, Israel
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 218-225
背景
イスラエルでは 2006 年からカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)による全国的なアウトブレイクが発生している。
目的
イスラエルの紹介病院 1 施設において実施された感染制御介入と CRE 発生率との関連を評価すること。
方法
前向きに収集されたデータの後向き準実験研究を実施した。CRE 発生率を、サーベイランスにおいて新たに CRE 獲得が認められた 100,000 病院日あたりの患者数または臨床検体数と定義し、2005 年から 2016 年の間に四半期ごとにプロットした。この期間中の様々な時点で感染制御介入を適用した。感染制御スタッフ、直腸サーベイランス培養件数、およびカルバペネム使用量に関するデータを収集した。自己相関のある分割線形回帰分析を用いて、CRE 発生率の傾向に有意な変化が生じた時点を評価し、感染制御介入実施のタイミングと観察された CRE 発生率の傾向との関連を評価した。時点間の傾向を、四半期ごとの変化率(%)および 95%信頼区間(CI)で表した。
結果
2005 年から 2008 年の間に、CRE 発生率は有意に上昇し(四半期ごとの変化率 19.7%、95%CI 11.5 ~ 28.4)、ピークにおいて 100,000 病院日あたりの新規獲得が 186.6 件に達した。2011 年半ばから追跡調査終了までに、発生率の有意な低下傾向が認められた(四半期ごとの変化率-4.5、95%CI -6.4 ~ -2.5)。患者のコホーティング、入院時の接触および高リスク患者のスクリーニングは、流行を制御するには不十分であった。手指衛生遵守率の改善、専門看護スタッフの配置、高リスク病棟における定期的スクリーニングの追加、およびカルバペネム使用の制限が必要であった。CRE 発生率の低下は、感染症専門医/感染制御看護師のスタッフ配置が 100 床当たり 1.2 ~ 1.5 倍になり、また CRE サーベイランスによる年間サンプル数が 20,000 ~ 36,000 になるのに伴って認められた。
結論
病院における CRE を制御するために、病院規模に応じた多面的な介入プログラムが必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
CRE 対策には多面的な取り組みが必要である。専門的な見地から指導する医師・看護師の適正配置や監視培養検査による保菌者の可視化も重要である。
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