医療関連尿路感染症患者における感染から退院までの日数予測モデル:構造方程式モデリングを用いたアプローチ
A predictive model of days from infection to discharge in patients with healthcare-associated urinary tract infections: a structural equation modelling approach
B.G. Mitchell*, M. Anderson, J.K. Ferguson
*Avondale College of Higher Education, Australia
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 282-287
背景
入院期間は、費用が医療関連感染症との関連でどのように変化するかを説明する重要な要素であり、この変数は費用評価に用いられるモデルの基盤となる。したがって、感染症に関連した入院期間の推定は正確に行う必要がある。
目的
医療関連尿路感染症患者を対象に、構造方程式モデリングを用いて、病院の規模、年齢および患者の併存疾患と、入院から感染までの日数および感染から退院までの日数との関係を検証すること。
方法
オーストラリア、ニューサウスウェールズ州の病院 8 施設における非流動コホート研究。入院期間が 48 時間を超え、医療関連尿路感染症に罹患した全患者を対象とした。
結果
適格患者 162,503 例の入院において、2,821 例(1.73%)が医療関連尿路感染症に罹患した。提案されたモデルの適合度指標は統合した標本において許容範囲内であることが構造方程式モデリングによって示された(GFI = 1.00、AGFI = 1.00、NFI = 1.00、CFI = 1.00、RMSEA = 0.000)。主な結果から、患者の年齢は入院から感染までの日数および感染から退院までの日数と直接関連していることが示された。患者の併存疾患は、入院から感染までの日数および感染から退院までの日数の変数と直接関連していた。多母集団解析にて、男性患者では、女性患者と比較して、入院から感染までの日数に対する年齢の影響が大きいことが示された。さらに、男性患者では、女性患者と比較して、入院から感染までの日数に対する併存疾患数の影響が有意に大きかった。
結論
構造方程式モデリングを用いて、医療関連感染症および感染から退院までの日数の予測因子を探索的に検討した初の公表された研究であり、入院中の感染時期を考慮することが重要であり、患者の併存疾患は感染時期に影響を及ぼすことが確認できる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
構造方程式モデリング(SEM)とは、「直接観測できない潜在変数を導入し、潜在変数と観測変数との間の因果関係を同定することにより社会現象や自然現象を理解するための統計的アプローチ」であり、重回帰分析や因子分析、パス解析などの機能を併せ持つ統合手法として、従来の多変量解析を超えた一歩進んだ解析手法とされている。本論文では、この新たな解析方法を用いて医療関連尿路感染症(HAUTI)を解析した。その結果、高齢で合併症を多く持つ患者は HAUTI を入院後早期に発症し、退院時期が延長することが判明した。SEM は、感染制御研究における新たな統計解析方法としての可能性を示唆している。
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