スコットランドにおける黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)菌血症の強化サーベイランスプログラム:最初の 18 か月間の成人でのデータ

2017.10.26

The Scottish enhanced Staphylococcus aureus bacteraemia surveillance programme: the first 18 months of data in adults


F. Murdoch*, J. Danial, A.K. Morris, E. Czarniak, J.L. Bishop, E. Glass, L.J. Imrie*
*NHS National Services Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 133-139
背景
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)菌血症(SAB)は、国民保健サービス(NHS)スコットランド内で報告される血液培養陽性の原因のうち、大腸菌(Escherichia coli)に次いで 2 番目に多い。2001 年以降、スコットランドでは、臨床検査によるサーベイランスが義務化されている。
目的
SAB 症例の疫学と、医療関連の発症および真の市中発症に関連するリスク因子を理解すること。これらの因子、およびリスクが最も高い患者集団を同定することで、焦点を絞った改善計画の作成が可能となる。
方法
NHS スコットランド内のすべての NHS 委員会が、義務的強化サーベイランスに参加した。データは、研修を受けたデータ収集者が、スコットランド全体で合意された定義を用いて収集した。
結果
2014 年 10 月 1 日から 2016 年 3 月 31 日までの間に、計 2,256 件の成人での SAB エピソードが同定された。血液培養は58 の病院、および 15 のスコットランド保健委員会にわたって実施された。データから、SAB 症例全体の約 3 分の 1 が、真の市中症例であることが明らかになった。血管アクセス装置は、依然として、医療を受ける人で最も多く報告される獲得経路であり(25.7%)、皮膚および軟部組織のリスク因子は、すべての感染源で認められた。市中症例に特異的な有意なリスク因子は、違法薬物の注入であった。
結論
SAB を減少させるための改善計画では、病院の医療現場以外にも対象を広げるべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
スコットランドで 2014 年から2016 年に実施された強化 MRSA 血流感染強化プロブラムによる成人のデータ解析の結果をまとめた論文である。血流感染の 3 分の 1 が市中での感染であり、違法薬物投与に関連するものが多いという結果から、血流感染の防止はいわゆる感染対策では足りず、公衆衛生の問題であることが見えてきた。

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