麻酔スクリーンドレープが垂直層流に及ぼす影響
Effect of an anaesthetic screening drape on vertical laminar airflow
R. Sehjal*, N. Bakti, R. Goddard
*East Sussex Healthcare NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 331-335
背景
効果的な手術室換気は、手術部位感染のリスク低減に必要である。術野上方からの垂直層流は「超清浄」空気の供給源となり、汚染物質を手術部位から排除する。麻酔スクリーンドレープは、手術部位と麻酔チームを隔てるためにしばしば使用されるが、これは垂直層流の原理と相反する。
方法
麻酔スクリーンドレープの使用時および非使用時の人工膝関節全置換術の疑似セットアップを行った。キャノピー内に 10 × 10 の格子を設定し、下降気流の速度を熱線風速計を用いて測定した。両セットアップについて、各格子点での速度の平均値と範囲を測定した。範囲は乱気流の指標とした。
結果
キャノピー内の下降気流の速度は平均で 0.35 m/s であった。麻酔スクリーンドレープを使用すると、患者上方の領域の下降気流の平均速度は 0.36 m/s から 0.29 m/s に減少した(P = 0.02)。ドレープ面上の領域の平均速度は 0.18 m/s であった。乱気流は、ドレープ面上の疑似手術部位に近い領域で発生した。患者上方の領域では、速度の範囲(30秒間の最高速度と最低速度の差)は平均で 0.034 m/s から 0.05 m/s に増加した(P = 0.04)。ドレープ面上の領域では、速度の範囲は平均で 0.08 m/s であった。
結論
麻酔スクリーンドレープの使用は、正常な垂直層流を乱す原因となる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
手術台でのドレープの使用と風流について調査した論文である。実際の手術時の感染に関する疫学調査と合わせたエビデンスの積み重ねが、より確実な感染対策の実際につながっていくものと思われる。
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