急性白血病患者の侵襲性アスペルギルス症のリスクを低減するため病院建設工事中に実施された環境制御策の有効性
Effectiveness of environmental control measures to decrease the risk of invasive aspergillosis in acute leukaemia patients during hospital building work
J.F. Combariza*, L.F. Toro, J.J. Orozco
*Hospital Pablo Tobón Uribe, Colombia
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 336-341
背景
急性白血病患者において、侵襲性アスペルギルス症は重大な問題である。免疫低下患者を収容する病棟の近辺で行われる建設工事は、侵襲性肺アスペルギルス症発症の主要なリスク因子のひとつである。
目的
病院建設中に実施された環境制御策が、急性白血病患者の侵襲性アスペルギルス症の予防に及ぼす影響を評価すること。
方法
後向きコホート研究により、病院建設中の様々な環境制御策の導入時の急性白血病患者における侵襲性アスペルギルス症の発生率を評価した。侵襲性アスペルギルス症の定義には、European Organisation for the Research and Treatment of Cancer(EORTC)の診断基準で用いられているパラメータを使用した。
結果
計 175 件の入院エピソードを評価した。うち 62 件では環境制御策がとられておらず(アウトブレイク発生時)、113 件は侵襲性アスペルギルス症の予防目的の環境制御策がとられていた。環境制御策が実施されなかった群および実施された群での侵襲性アスペルギルス症の発生率はそれぞれ、25.8%および 12.4%であった(P = 0.024)。環境制御策実施群の侵襲性アスペルギルス症の相対リスクは、0.595(95%信頼区間0.394 ~ 0.897)であった。
結論
本研究から、病院建設中の環境制御策の実施は、急性白血病の入院患者における侵襲性アスペルギルス症の予防に良い影響を与えることが示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
建設工事や改修工事がアスペルギルス感染症のリスク因子であることはこれまでにも知られており、リスクアセスメント(ICRA;Infection Control Risk Assessment)に基づく様々な対策が必要とされている。本論文で行われた対策は、環境制御、HEPA フィルター、抗真菌薬(posaconazole)予防投与であり、なかでも粉じん制御や病室のシーリングなどを含む環境制御は独立した危険因子であった。
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