超多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)の病院環境から自然環境への排出

2017.08.31

Emission of extensively-drug-resistant Acinetobacter baumannii from hospital settings to the natural environment


M. Seruga Music*, J. Hrenovic, I. Goic-Barisic, B. Hunjak, D. Skoric, T. Ivankovic
*University of Zagreb, Croatia
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 323-327
背景
アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)は、院内アウトブレイク時に患者から高い頻度で回収される主要な新興病原体である。したがって、 A. baumannii の環境内リザーバの役割は、世界的に大きな懸念事項である。
目的
A. baumannii が原因の院内アウトブレイクと、病院の排水、都市の下水、および排水の最終的な自然環境内の受け入れ場所としての河川水からの環境分離株との関係を検討すること。
方法
2 か月のモニタリング期間中に、院内感染肺炎患者由来の臨床分離株と、水由来の環境分離株を収集した。A. baumannii の回収は、CHROMagar Acinetobacter プレートを用いて、42℃で 48 時間インキュベートして実施した。分離株の同定は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)および rpoB 遺伝子の解析により行った。抗菌薬耐性プロファイルは、A. baumannii の臨床分離株を対象とした規準に従って解釈した。シークエンス型(ST)は、複数部位塩基配列タイピング(MLST)により決定した。
結果
患者、病院の排水、都市の下水および河川水から回収された分離株 19 株中 14 株は、ST 195 に属していた。患者および河川水から回収された残りの 5 株は、ST 1421 に分類された。すべての分離株が、極めて強い近縁性を認め、CC92 へのクラスタリングを示したが、これは国際クローン 2(IC2)に対応する。すべての分離株は、1 つか 2 つの抗菌薬カテゴリーを除いて、すべてのカテゴリーの少なくとも 1 剤に感受性を示さず、したがって「超多剤耐性(XDR)」に分類された。病院の排水由来の分離株 2 株は、コリスチンへのヘテロ耐性が示された。
結論
臨床分離株と環境分離株の間に強い近縁性が認められたことから、XDR A. baumannii が未処理の病院排水を介して自然環境内に排出されていることが示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)は中東地域で多くの感染症を引き起こしている。この菌は高温多湿や低温乾燥にも強く、大変やっかいな菌である。院内伝播し易い CC92 型近似型菌が、生活環境から分離されることは注目すべき点である。国別・地域別の調査が必要であろう。

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