黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)保菌を調べるための複数部位および鼻腔のスワブ採取:単回の鼻腔スワブは何を予測するか?
Multi-site and nasal swabbing for carriage of Staphylococcus aureus: what does a single nose swab predict?
B.C. Young*, A.A. Votintseva, D. Foster, H. Godwin, R.R. Miller, L.W. Anson, A.S. Walker, T.E.A. Peto, D.W. Crook, K. Knox
*University of Oxford, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 232-237
背景
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の保菌は感染症のリスクである。対象を絞った除菌は術後感染症を低減するが、それには正確なスクリーニングが必要である。
目的
健常人における黄色ブドウ球菌の保菌率を、解剖学的部位間、ならびに看護師または自己によるスワブ採取の間で比較すること。また、単回の鼻腔スワブ採取が 4 週間にわたる保菌を予測するかどうかを明らかにすること。
方法
健常人を一般診療所で募集した。同意取得後、看護師が複数部位(鼻腔、咽喉、腋窩)のスワブ採取を行った。参加者は、鼻腔のスワブ採取を週 2 回、4 週間にわたり行った。スワブ検体は郵便で返送してもらい、黄色ブドウ球菌について培養した。すべての黄色ブドウ球菌分離株に spa タイピングを実施した。自己採取したスワブを 4 回以上返送した人における持続的な保菌は、自己採取によるスワブのすべて、または 1 回を除くすべてで黄色ブドウ球菌が回収されることと定義した。
結果
合計で 102 例が複数部位のスワブ採取を受けた。黄色ブドウ球菌保菌は、40 例(39%)で少なくとも 1 部位から検出された。鼻腔(102 例中 29 例、28%)および咽喉(102 例中 28 例、27%)における分離率に差はなく、両方を組み合わせると総検出率が 10%上昇した。99 例の参加者は自己採取したスワブを 1 回以上返送し、96 例は 4 回以上返送した。鼻腔保菌の検出率には、看護師と自己による採取で有意差はなかった(99 例中 28 例[74%]対 99 例中 26 例[72%]、χ2 検定 P = 0.75)。初回の自己採取スワブが陽性であった参加者 25 例中 22 例は持続的保菌者であり、初回の自己採取スワブが陰性であった参加者 71 例中 69 例は持続的保菌者ではなかった。結果として陽性的中率が高く(88%)、陰性的中率が極めて高かった(97%)。
結論
鼻腔スワブにより大部分の保菌が検出された。咽喉スワブにより検出率が 10%上昇した。自己採取による鼻腔スワブは、看護師の採取によるスワブと同等であり、4 週間にわたり持続的な鼻腔保菌を予測した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
古典的な保菌者調査に関するエビデンス検討の論文である。従来から知られていることの焼き直しにすぎない。
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