タンザニア農村地域の医療従事者におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)への職業曝露の重大さとHIV曝露後予防に対する理解

2017.07.31

Understanding the magnitude of occupational exposure to human immunodeficiency virus (HIV) and uptake of HIV post-exposure prophylaxis among healthcare workers in a rural district in Tanzania


P. Mabwe*, A.T. Kessy, I. Semali
*Ministry of Health and Social Welfare, Tanzania
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 276-280
背景
医療環境での血液やその他の体液への職業曝露により、医療従事者はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染のリスクにさらされる。世界中で年間 200 ~ 5,000 件の HIV 感染が医療従事者に伝播していると推定されている。曝露後予防の利用は、職場での曝露による HIV 感染率を 81%低下させると実証されている。
目的
調査前 12 か月間の HIV 感染への職業曝露の程度を調べ、医療従事者における曝露後予防診療の利用に関連する因子を特定すること。
方法
タンザニアのコングワにある特定の医療施設において医療従事者 221 名にインタビューを行った。データには、体液への職業曝露、曝露後予防の知識およびその利用が含まれた。
結果
医療従事者 60 名(27.1%)が血液および体液への曝露を経験し、そのうち 71.7%(60 名中 43 名)が針刺し切創を経験していた。医療介助者が最も高頻度に曝露を受け、それに次いで看護師であった(それぞれ 31.7%および 28.6%)。曝露を受けた医療従事者のうち 7 名(11.7%)が HIV 曝露後予防を利用したと報告した。曝露の報告(オッズ比[OR]8.44、P = 0.016)、曝露のもとになった患者の HIV 感染状況の知識(OR 42.19、P = 0.007)、曝露後予防に対する認識(OR 12.72、P = 0.010)が曝露後予防利用の有意な予測因子であった。
結論
医療従事者の曝露後予防診療の利用は、職業曝露率が高いにもかかわらず、依然として低い。医療従事者が曝露後予防診療の知識を持ち速やかにアクセスできるように、タンザニアにおける HIV 曝露後予防ガイドラインの広範な普及と医療従事者の研修が求められる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
アフリカの発展途上国での職業曝露に対する知識の普及が大きな課題であろう。医療資源が限られているなかでの感染対策は限られているかもしれないが、本論文のような情報提供による知識と対応への教育は十分可能であり、職員への情報提供不足により発生する職務感染は決してあってはならない。

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